俳優の芦屋雁之助さんが歌った『娘よ』(1984年)は1年以上にわたって、オリコンチャートの100位内に入るロングヒットとなった。結婚する娘を送り出す父親。複雑な心模様がしんみりと歌われ、共感が広がった◆〈嫁に行く日が来なけりゃいいと/おとこ親なら誰でも思う〉。いつまでも一緒にいてほしい。でも、好きな人と結ばれ、楽しい人生を送ってほしいとも思う。父親の心は微妙に揺れるが、願いは一つ、娘の幸せである◆秋篠宮さまご夫妻はきのう赤坂御用地で、長女眞子さま(29)との結婚を控える小室圭さん(30)からあいさつを受けられた。親としてだけでなく、皇室の一人として、一般の身には分かり得ない心情があるだろうと察する◆本来ならば、結納にあたる「納采(のうさい)の儀」や天皇、皇后両陛下に感謝の言葉を伝える「朝見の儀」などの儀式があるが、すべて行われない。皇室を離れる際の一時金も辞退され、異例な形の結婚となる。小室家の金銭トラブルに伴う国民感情を熟慮されての苦渋の判断なのだろう◆〈贈る言葉はないけれど/風邪をひかずに達者で暮らせ〉〈笑い話ですませるけれど/口じゃ云(い)えない苦労もあった〉。『娘よ』にはそんな歌詞もある。いつの世も、親子の情愛に変わりはない。身内だけでの会話は祝福の言葉で満ちていればと思う。(知)

下記のボタンを押すと、AIが読み上げる有明抄を聞くことができます。

このエントリーをはてなブックマークに追加