70代男性が亡くなった医療事故について説明する山下秀一病院長=佐賀市の佐賀大医学部附属病院

 佐賀大医学部附属病院(山下秀一病院長)は15日、肝腫瘍の検査時に動脈を傷つける医療事故が9月に起き、入院中の70代男性が死亡したと発表した。検査前の説明が不十分だったとして家族に謝罪した。第三者機関の医療事故調査・支援センターに届けるとともに、調査委員会を設置し原因究明にあたる。

 病院によると、検査は肝臓に針を刺して組織を採取する「生検」で、20例以上の経験がある医師2人があたった。通常の道具を使い、終了時にはエコーで出血がないことを確認した。4時間後から発熱や血圧低下があったため検査、肋骨(ろっこつ)の間の動脈の損傷と出血を確認した。すぐに輸血を始め、集中治療室(ICU)で昇圧剤などの治療を続けたが、21時間後に亡くなった。

 同病院医療安全管理室(木村晋也室長)などで状況を調べ、肝腫瘍生検に起因する死亡であることを確認した。生検の説明同意文章には「死亡は千人に一人程度の報告です」と記載しているが、担当医師が患者とその家族には説明していなかったことが分かった。

 肝腫瘍生検に関しては、医療事故調査・支援センターに2015年10月~19年7月までに1102例中、10例の死亡事故が報告されている。同病院では毎年約80例実施しているが、事故の原因調査のため、現在は休止している。

 同病院では今後、外部委員を交えた調査委員会を設置し、原因や過失の有無を検証し、再発防止策を策定する。山下病院長は「患者と家族に大変な苦痛を与えたことを深くおわびする。原因を究明し同様の事例が発生しないよう努力する」と話した。(石黒孝)

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