唐津市議会は13日、選択的夫婦別姓制度の法制化に向けた議論を求める意見書を全会一致で可決した。九州では福岡県北九州市や大牟田市が同様の意見書を可決している。

 議長を除く全議員が提案者に名を連ねた。制度導入の世論調査で賛成や容認派が66%を占めたことに触れ、「通称使用では自己同一性を喪失する苦痛を解消するものにはならず、根本的な解決策にはならない」と指摘。「依然として国会での議論は進んでいない」として、積極的な議論を要望している。

 意見書は岸田文雄首相、衆参両院の各議長、法務大臣に提出される。20年以上活動に取り組むNPO法人「mネット・民法改正情報ネットワーク」の坂本洋子理事長(59)は「民意が議会に反映された結果。保守的な地域から意見書が出されることで他の地域に大きな影響を与える。『時代が変わってきた』とメッセージを発することになる」と話す。

 夫婦別姓を巡っては、別姓を認めない民法と戸籍法の規定が憲法に反するかどうかが争われた6月の家事審判で、最高裁が「合憲」と判断。最高裁は制度のあり方について「国会で議論、判断されるべき」として立法府の取り組みを促している。

 佐賀県内では県議会が2月定例会で選択的夫婦別姓の議論を求める意見書を否決。佐賀市議会は3月、導入に向けた民法改正を求める意見書を否決している。(横田千晶)

 ◇「大きな一歩」請願書提出の女性

 「保守的な土地柄で厳しいだろうと半ば諦めていたので、大きな一歩。意見書などで多くの声が上がり、議論が進んでほしい」-。2年前、夫婦別姓を求める請願書を唐津市議会に提出していた市在住の女性教諭(54)は、意見書可決を前向きに捉える。

 30年前に結婚し、戸籍上は夫の姓になった。生まれ持った自分自身の名字が変わる違和感や、免許証の変更手続きなどの煩雑さもあり、職場では通称名として旧姓を使ってきた。結婚当初、職場では「女がそがんことして生意気」と白い目で見られることもあったという。普段の生活では通称名使用で支障はないが、職場では文書によって印鑑や二つの姓を使い分ける負担もある。

 偶然、冊子で見かけた「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の取り組みを知り、「困るのが自分たちの子どもになるかもしれない」と活動を始めた。団体から方法を聞いて請願書をつくり、知り合いを通じて唐津市議や国会議員にも相談した。「結婚で同姓を強いる国は日本だけ」と女性教諭。「跡取り問題で結婚を諦める人もいる。人生の中で大きいイベントでもある結婚が、前向きにできるような社会であってほしい」と願う。(横田千晶)

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