台風一過の晴天が広がった干潟体験イベント「潟を踏もうぜプロジェクト」=9月18日、肥前鹿島干潟

 

 青空が広がる肥前鹿島干潟に、子どもたちの元気な声が響いた。

 9月18日に開かれた干潟体験イベント「潟を踏もうぜプロジェクト」。親子連れなど約70人が参加し、潟スキーなどの干潟遊びを満喫した。

 イベントには「あなたの一踏みが干潟を守る」というサブタイトルが付いた。足を抜いた穴に海水が流れ込んで酸素量が増え、干潟は生き物が育ちやすい環境になる。だが肥前鹿島干潟には泥を落とすためのシャワー設備がなく、イベントはこれまで実現しなかった。

 「肥前鹿島干潟で一緒に何かできませんか?」。状況を変えたのは、地元青年会議所からの提案だった。

 

青年会議所が協力、イベント実現

 鹿島市に声を掛けてイベント開催のきっかけをつくったのが、日本青年会議所佐賀ブロック協議会のSDGs推進委員長を務める古賀久達さん(30)だ。

 シャワー設備という課題は、鹿島青年会議所のメンバーが高圧洗浄機などを提供することで解決。9月5日には流木などの危険なごみを取り除く清掃活動を行い、子どもたちが安心して遊べる環境を整えた。

9月5日、地元青年会議所のメンバーが清掃活動を行い、子どもたちが安心して遊べる環境を整えた

 古賀さんには、ラムサール条約に登録されている東よか干潟(佐賀市東与賀町)と肥前鹿島干潟の魅力を多くの人の知ってもらいたい、という思いがあった。鹿島青年会議所は「肥前鹿島干潟SDGs推進パートナー」にも登録している。ラムサール条約とSDGsによって多くのつながりが生まれ、人々に行動を促した。

 

人の営みが海を豊かに

 「やっと水というハードルを乗り越えられた」。鹿島市を中心に有明海の環境を研究している佐賀大学農学部特任助教の藤井直紀さん(44)も、イベントが実現したことに感慨深げだ。

 かつて、有明海の干潟には二枚貝のアゲマキなど豊かな生物の営みがあった。アゲマキ漁は2018年、22年ぶりに再開されたが、翌年からは禁漁が続いている。タイラギも昨年度まで9季連続で休漁。有明海異変が叫ばれて久しいが、藤井さんは、人々が干潟に足を踏み入れなくなったことも環境変化の原因の一つだと考えている。「人の営みがあったからこそ、有明海は豊かな海だった」

 実際に今回のイベント後、参加者が踏んだ泥の色が黒から茶色に変わっており、この変化は酸素供給が原因とみられるという。

環境に関心を持つことから一歩進んで、身近な存在として有明海に親しみを持つ人をどれだけ増やせるか。藤井さんはそのための一歩として、今回のイベントには大きな意義があると考えている。

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