十三代のポスターをバッグに、十三代の作品を手にする十四代今泉今右衛門さん==有田町の今右衛門古陶磁美術館

「色絵薄瑠璃かるかや文皿」(昭和40年代)。円周を回る鍋島の表現に現代的な要素を見いだし、追究を続けたという

 色鍋島の人間国宝(重要無形文化財保持者)だった十三代今泉今右衛門さん(1926~2001年)の草創期の作品を集めた展覧会が8日、有田町の今右衛門古陶磁美術館で開幕した。自己表現を模索した若き日から、吹墨、薄墨の技法で独自の色鍋島を確立する前の55点を展示。没後20年の節目に、作風の変遷を振り返る。12月19日まで。

 十三代に焦点を当てた3年にわたる展覧会を企画し、1年目の今回のテーマは「十三代今右衛門展-草創期をたどる」。22年は円熟期を、23年は人間性に迫るエピソードとともに作品を紹介する。

 草創期は、十三代襲名前に「善詔(よしのり)」銘で作陶した40代までの作品が中心で、三つの時期に分けて並べる。

 23歳の帰郷後は、学生時代に見聞きした画家のマティスらの影響を感じる「樹立(こだち)」など現代的な作品が目立った。

 昭和30年ごろに窯跡の発掘調査に関わり、素朴な初期伊万里に引かれたという。銹釉(さびゆう)への特段の憧れは、茶色のスルメを描いた作品に見てとれる。

 昭和40年代に入ると、鍋島の中に現代性を見いだす。「色絵薄瑠璃かるかや文皿」など円周状に回る構図は、生涯にわたって追究。襲名翌年に試作し、その後の薄墨につながる花瓶もある。

 十四代今右衛門さんは「十三代は、若い頃の家業への反発と初期伊万里への憧れ、その後に家業を受け入れながら現代の自分の表現に取り組んだ過程があったからこそ、薄墨、吹墨のような作域を確立できたのでは」と話す。観覧料は500円、高校生以下は無料。月曜休館(休日の場合は翌日)。オンライン展覧会も開いている。(古賀真理子)

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