佐賀市長選と市議選が10日告示、17日投開票される。市長選には6人が出馬を予定しており、無投票だった前回から一転して混戦模様となった。

 2005年の平成の大合併から、4期16年にわたって率いてきた現職の秀島敏行市長が退き、新たなかじ取り役を決める重要な選挙となる。

 秀島市政を振り返れば、功績の一つは、南部3町が加わった2度目の合併を成し遂げた点だろう。これにより、現在の市域が確定し、人口24万人の県都の形が整った。当時はちょうど、小泉政権による郵政民営化の時期とも重なり、肥大化した行政コストをいかに削るかが、社会的な課題だった。

 いささか古いデータだが、佐賀市は「都市の暮らしやすさ」で、全国1位と評価されている。野村総研が2017年に発表した「成長可能性都市ランキング」だ。

 「医療、買い物、飲食など日常生活の環境が充実している」「生活コスト全般が安く、市民の日常生活の満足度が高い」という点が評価された。その一方で、課題として「車を使わなければ生活ができない点を不満とする市民が多い」とも指摘されていた。

 折しも、コロナ禍により私たちの暮らしは「新しい日常」へと大きな変化を迫られた。外出や他人との交流を控え、自宅で過ごす時間が増えた。

 どこで暮らすか、どこで働くか。日常生活を大切にする傾向が広がっているようだ。経済分野においても、テレワークの急激な進展により、首都圏の本社機能を縮小する企業まで目立ち始めた。地方へ目が向き、働く人々の選択肢が広がろうとしている。そこで、「暮らしやすさ第1位」の強みを伸ばさない手はないだろう。

 佐賀市では人口減少に加えて、高齢化も急速に進んでいる。本年度の当初予算を見ても、社会保障にかかる扶助費はふくらむ一方だ。基金を取り崩してやりくりしており、これを、いつまでも続けるわけにはいかない。

 選挙ともなれば、候補者としては耳の痛い話題は避けたいところだろうが、とりわけ、財源問題をどう考えるのかを率直に語ってもらいたい。どれだけ素晴らしい未来を描いて見せても、絵に描いたもちでは困る。

 コロナ禍は感染者数が落ち着き、ようやく緊急事態宣言が全国的に解除された。とはいえ、これで終息したわけではない。ウイルスと共存する「ウィズコロナ」の始まりだ。コロナ前と、コロナ後では、まったく異なる発想が必要になってくるだろう。

 従来であれば、人口減少を補う施策として、市外を含めた交流人口に活路を求める向きもあった。だが、先行き不透明でにわかに回復するとは楽観しにくい。いかに人口減少に歯止めをかけつつ、地域で経済を回していくか。発想の転換が欠かせないのではないか。

 長引くコロナ禍により経済活動は低迷し、私たちの暮らしへの打撃もまだまだ続きそうだ。それだけに、市民生活の基盤を支える市政に求められる役割は、これまで以上に重みを増す。危機のリーダーとして、厳しい未来を率直に語れるか、どんな発想で乗り越えるのか。それぞれの候補者のビジョンを、しっかりと見届けたい。(古賀史生)

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