任期満了に伴い10月10日告示、17日投開票の日程で実施される佐賀市長選を前に、立候補予定者7人による公開討論会(佐賀青年会議所主催)が9月28日、佐賀市のアバンセで開かれた。経済や教育、男女共同参画などテーマ別に課題を指摘し、それぞれが思い描く県都の未来や独自施策を主張した。発言要旨を採録する。(構成・大田浩司、川崎久美子、宮崎勝、古賀史生、福本真理)

立候補予定者一覧 ※9月28日時点

※立候補予定者は上から出馬意向が表面化した順

坂井英隆氏(さかい・ひでたか 41歳、元国土交通省官僚)「災害対策推進、子育て施策も」 
堤雄史氏(つつみ・ゆうじ 36歳、弁護士)「IT企業誘致、教育環境充実」 
田中豊治氏(たなか・とよじ 73歳、西九州大教授)「NOオスプレイ 国際都市に」
古賀臣介氏(こが・しんすけ 58歳、前佐賀市地域振興部長)「コロナと災害対策 命を守る」
馬場範雪氏(ばば・のりゆき 60歳、元佐賀市副市長)「市民が主役 協働の市政運営」
藤田直子氏(ふじた・なおこ 69歳、市民団体代表)「市民との合意形成、最も尊重」
細川博司氏(ほそかわ・ひろし 61歳、医師)「コロナワクチンを即時中止」


※おことわり
発言に長短がある一方、進行や時間配分の問題で制限時間内に発言が収まらなかったり、質問に対して答えがかみ合わなかったりして、文意が通りにくい部分があります。

自分自身を一言で伝えてほしい

 坂井氏 「災害対策のプロ、子育て真っ最中のパパ坂井」。弁護士として法律を学んでおり、国交省では災害対策や地域交通の課題の解決、インフラ予算などの課題を扱ってきた。西日本豪雨の対応など、水害対策を専門的に行ってきた。これまで培ってきた最先端の知恵や技術などを、佐賀市のためにフルに活用していきたい。「災害に強い安心で安全に住み続けられるまちづくり」を強力に推進していく。佐賀市の未来を輝かせるために、子育て施策に、3歳の子どもがいるパパの視点で取り組んでいきたい。

 堤氏 「寄り添い、佐賀市をよりよくする堤雄史」だ。フットワーク軽く現場に足を運び、市民の意見を丁寧に聞きたい。政党推薦を受けず行政出身でもなく、しがらみがないから市に何が必要かという観点で是々非々で見直す。コロナ禍で市も変化しなければ、子どもたちに問題を残す。10カ国で事務所を設立した行動力を生かし、特定の誰かではなく市全体にとってよい政策を実現する。経営と法律のプロだが、市長が全て一人では行えない。市職員、市民の方々、各分野のプロが動きやすい現場を整え、最終的な判断と責任を取る。

 田中氏 「NO!オスプレイと新しい国際都市づくりの田中」だ。佐賀空港へのオスプレイ配備で都市や住民、地域社会は幸せになるのか。「平和空港」にオスプレイ、ヘリコプターが移駐され、毎日60回、年1万7千回の飛行訓練が行われる。代償として100億円、年5億円が20年間、発着料として補償される。バルーンがなくなるかもしれない。有明海干潟のシチメンソウが枯れるかもしれない。渡り鳥が来なくなるかもしれない。日本一のノリ産業がなくなるかもしれない。佐賀空港をハブ空港にしたい。

 古賀氏 「市政のプロフェッショナル」。市地域振興部長として地域の課題を見てきた。34年間勤めた市役所で市町村合併、度重なる豪雨災害に向き合ってきた。まずやらなければいけないのはコロナ対策。命、暮らしを守るのが市長の責務だ。医療従事者の支援、困っている市民の暮らしと経営を支えることを第一にやりたい。次が災害対策。過去に例を見ない豪雨が頻発している。市の中心部から流れこむ佐賀江川の排水機場の機能を向上させたい。その川に流れ込む城原川の治水ダムを整備するよう国に関係自治体と要望したい。

 馬場氏 「市民が主役のまちづくりの馬場」だ。市民のたくさんのアイデア、ポテンシャルを最大限に発揮する市政をつくりたい。生活や活動を支える一番下の底辺で下支えする存在になりたい。私は長年、防災対策をやってきたプロ。はけきれない水をどこに捨てればいいか。クリークを使い、海に直接流すことをやっていく必要がある。国交省、農林水産省、県、自治体が一体となった流域治水が大切だ。河川を大きくすることもできるが、時間やお金がかかる。クリークによる自然排水を強力、早急に進めたい。

 藤田氏 私の政治モットーは「皆に元気を与える藤田」だ。全ては元気な心、元気な体、元気な人間関係から始まると信じている。政治は生き物と同じで、新陳代謝をすべきだ。今のままでいいことはない。世界の情勢を見ながら、いいところは市にも取り入れていくべきだ。世界の覇権の勢力図が変わろうと、市民と政治は一体感を持つべきだ。一番に考えていくのは新型コロナ対策で、市民の皆さんに情報を迅速に伝えていきたい。低年齢のコロナワクチンについては懸念している。

 細川氏 「佐賀人よりも佐賀が大好きな男」。長く研究してきた。佐賀は本当に素晴らしい、恵まれたまちだ。以上。

リーダーの在り方

 -政治的スタンスを事前に尋ねたところ、皆さんは新しいことに挑戦するタイプと答えた。リーダーシップの在り方として、成果を上げること、合意形成を取ること、どちらを重視するか。


 坂井氏 成果を最大限に上げるリーダーを目指す。よくない政治があるとすれば、硬直してしまう政治。常に挑戦をやめない、動き続ける市政を実現する。その上で効果を最大限に上げる。そのための若さと体力、「聞く耳」と思う。現場に頻繁に出向き、課題を聞き取る「開かれた耳」を持つ市長になりたい。たくさんの方にさまざまな課題を聞き、共に解決策を考えた。市は素晴らしく、豊かな可能性に満ちている。いいところを見つけ、たたえて伸ばす。市の未来を責任を持って輝かせること。その一点だけを見つめている。

 堤氏 意見を丁寧に聞く手続きは重視するが、最大限の効果が全市民にとって何がどの政策かということを重視したい。合意形成のみを重視すると、その過程で中途半端な政策になったり、時間がかかって時機を逸した政策になったりする。多数派だけを重視すると市長、市議会とか意味がなくなってしまい、住民投票だけでいいとなる。多数決だけを重視すると、性的マイノリティーなど少数派の意見がかき消されることがある。最終的な判断を行うのは市長であり、その上で責任はきちんと取るリーダーでありたい。

 田中氏 合意形成を図りながら目標を達成するリーダーでありたい。まちづくりでは全体像、将来像について明確にビジョンを提示すべき。「パッション、ミッション、ビジョン、アクション」を大切にしたい。情熱、社会的な使命、具体的なビジョンを、構想力を持って提示し、さらに行動に移す総合的な能力を持つ。リーダーがいなければ、どこに向かっていいのかを示せない。その後に合意形成を行って、いろいろな方の意見を反映する民主的なシステムをつくっていきたい。そういうリーダーでありたいと考えている。

 古賀氏 成果を求めるタイプと思うが、事業には期限がある。期限まで徹底的に議論し、最後はリーダーが決める。市民の不安を軽くするために市役所が存在する。疲弊した中心市街地、高齢社会の福祉政策に躊(ちゅう)躇(ちょ)なく取り組む。不器用だが、誠実さでは誰にも負けない。地味だけど温かみのある納得のいく中身がある市政を行う。多くの方と会い、まちづくりに人の力が欠かせないことを知った。まちづくりの根本は人。人をつなぐ、人を生かす、人を育む、人を守る、人を大切にしていいまちができる。みんなで佐賀をよくしよう。

 馬場氏 是々非々だ。どちらかというと効果を最大限に求めたいが、合意形成なしの成果実現はあり得ない。そこを重視したような政策を打っていきたい。「市民が主役」と先ほど申し上げたが、市民の意思や夢、未来を大切に、行政だけでなく皆さんと一緒になってやっていきたい。合意形成か、成果の最大化か、どちらかを選ぶのは難しい。ただ、いいことは最大限やっていく。皆さんが困るようなことを無理やりすることはない。合意形成が一番重要で、課題ごとに対応していきたい。

 藤田氏 自らの経験から、市民との合意形成を最も尊重したい。期限を設けるようなことはしない。小城市でスマートインターができた時、村の人たちが「村に道路を通さないでほしい、バイパスを造ってくれ」と懸命に訴えた。区長さんがアンケートを行っており、反対が多かったのにもかかわらず、ある勢力の人たちが「そんなのはやめてしまえ」と強引に進めてしまい、現在に至っている。「政治で市民に犠牲者を出さない」が私の政治のモットーだ。必死の思いで合意形成を大切にしていく。

 細川氏 私のことをよそ者と思わないで。小学校五つ、中学校三つ。高校は東京都立目黒高校と山口県立徳山高校で、仲間には検事をやめた弁護士がいる。今度のコロナはひどい。「マスクをしてくれ、消毒をしてくれ、2メートル離れてくれ」というお願いに、ハイハイと言っている。あなた方は、知事がお願いしたら殺人をするのか。合意形成じゃない、思考停止だ。「デマを言う医者がいて困る」というが、どちらがデマだ。しっかりしろよ佐賀市。対策が誤っている。中国の習近平を国賓で呼びたかった。五輪やるやる詐欺。いい加減考えろよ。

教育

 -2019年度の全国学力テストの都道府県別正答率ランキングで佐賀県は43位だった。教育レベルを上げることに力を入れるか、それとも教育には順位よりも大切なものがあるので点数を上げること以外のことをするのか。教育の地域間格差への考えを聞かせて。

 坂井氏 これからは多様性を育む時代。学力とともに社会性や協調性、新しい時代に対応した論理的思考やICT学習、さらには豊かさを育むための郷土史、アート、文化など学ぶことは多々ある。学歴のためではなく、これからの時代を生きる力を育む教育をすべき。少人数学級の実現や先生の多忙化の解消に力を入れる。子どもと向き合う時間を確保し「多様な個性」を「多様なまま受け入れる」環境整備を進める。防犯カメラの設置など、安全に楽しく通える「誰一人取り残さない」環境づくりに取り組む。

 堤氏 ランキングが全てではないが、43位の県を魅力的と考える人は少ない。現場の声を聞くと、教師が疲弊している。教育分野の予算を増やした上でICT活用、英語、部活指導の専門家などを増やす。教師が本来の業務や子どもに丁寧に寄り添うことに時間を使うことができる。教師が一人で全てを行う必要はない。専門家を活用し、よりよい教育を受けてもらう。
 さらに、多世代交流センターを創設したい。地域のつながりが薄くなってきているが、高齢者と若い世代、子どもが交流できる場を提供したい。

 田中氏 教育県・佐賀の復権こそが大事ではないか。150年前の鍋島直正公の弘道館教育に立ち返って考え、若者たちを海外に出して国際的な感覚を持った人材を育成していく。
 現代社会における対応力を養うためには、外国人留学生との交流が一つの在り方になるのではないか。優秀な留学生と交流させることによって、国際的な感覚や、言語能力などが育成されていく。これからの教育の在り方として、国際的な人材を、この佐賀の地からどんどん輩出していく、ということを考えていきたい。

 古賀氏 妻と共働きで2人の子どもを育てた。学校へ一時期通えなくなり悩むことがたくさんあったが、学校やNPOのサポートを受け、妻と力を合わせて乗り切ることができた。子育てと教育は、車の両輪。子どもたちがこれから歩む長い人生では、学力が全てではない。個性を尊重し、個性を伸ばす教育が大切。そのツールとして、1人1台のパソコンなどデジタル技術の活用は大変有効と思う。学力を上げるために勉強できる環境が整っているか。貧困、虐待、いじめはないか。全力で解決に取り組む。

 馬場氏 ほとんどどんぐりの背比べで、あまりランキングにこだわる必要はないが、学力向上は必要だと思う。例えば算数は計算するだけでなく、数式の意味を論理的に説明できるか応用する能力が問われている。本物の算数の力が求められ始めている。本質的な意味を教え、学びたいと自ら思う心を育てる。問題解決能力を育てる教育を進めたい。その前に豊かな人間性、創造力、たくましい実践力を身に付けてほしい。十分な教育を受けられない子どもがないよう、誰一人取り残さない教育を目指す。

 藤田氏 元気な子どもの声は町の幸福度のバロメーター。先日、団地を回ったが、子どもたちがいろいろしていて、いいなあと思った。家庭のような育みがある保育園、幼稚園を目指していきたい。パソコンで教育をやっていくのか、それとも対面とパソコンの混合にするのかは難しいが、あまりにもデジタルばかりにアンバランスではいけない。学力テストの順位は1位が秋田県、それから福井県。ただし英語だけは東京が1位。英語だけでも佐賀は負けないように、しっかり力を入れていきたい。

 細川氏 佐賀は感性、エモーショナルがいい。引っ込め偏差値教育と言いたい。むしろ、誇りに思わなくちゃいけない。問題は発達障害。その後のケアをやってる場合じゃない。ものすごい税金、保険料を使っている。まず出血を止めること、輸血している場合じゃない。われわれの税金と保険料が湯水のようにどんどん使われている。予防医学の始祖は鍋島さん、大隈さん。早稲田大に医学部はない。北里大の医学部が早稲田大の医学部だ。予防医学と救急救命、これに特化するためには学力は必要ない。

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