SUMCOの久原工場(奥)に工業用水を供給する伊万里湾の貯水池=伊万里市山代町

 半導体の材料となるシリコンウエハー製造大手のSUMCO(本社・東京)は1日、伊万里市で計画している工場の増設に伴い、500~600人の正社員採用を予定していると明らかにした。雇用以外にも市の税収や工業用水事業の改善など地域への経済効果は大きく、深浦弘信伊万里市長は「ビッグニュース。雇用面では他の市町にとってもいい話だ」と歓迎した。

 同社は9月30日、世界的な半導体不足に対応するため、同市山代町の久原工場で2015億円の増産投資をすると発表した。直径300ミリシリコンウエハーの生産能力の増強を図り、新たな建屋を造って最新鋭の製造設備を導入する。

 同社は直径300ミリシリコンウエハーで世界シェアの3割を占め、大半を伊万里市の久原工場と長浜工場(東山代町)で生産している。今回の設備投資で生産能力がどの程度向上するかは非公表だが、増設する建屋の大きさは現在の工場建屋と同規模になるという。

 新工場は2023年から生産を開始し、フル稼働する25年までの間に500~600人の正社員を新規採用する予定。22年の年明けから募集を始める。伊万里市の2工場では現在、正社員約2500人が働いている。

 市はこれらの設備投資や新規雇用により、固定資産税や法人市民税、住民税などの税収増を見込んでいる。また、長年にわたって厳しい状況が続く第4工業用水事業の収支改善への期待も高まる。

 事業は同社の久原工場を誘致する目的で計画され、09年に給水を開始したが、不況の影響で工場への供給量は当初計画を下回り続けた。他の工業用水を含む事業全体の累積赤字は20年度決算で約17億4千万円。市の財政に暗い影を落とす中、今回の設備投資によって供給量は大幅に増えるとみられ、市水道施設課は「経営も改善の方向に進む」としている。

 深浦市長は「市としても採用活動や工業用水の供給など多方面で協力していきたい」と話している。(青木宏文)