措置命令が出された後も大きな変化はなく、隣接する住宅の近くまで高く積まれたままの産業廃棄物=29日、神埼市千代田町迎島

 佐賀県と神埼市は、同市の解体業「江口総業」(江口賢次代表)が産業廃棄物の撤去と崩落防止の措置命令に応じなかったため、行政代執行の準備を進めている。同市議会は撤去のための立替費用235万9千円を含む本年度一般会計補正予算案を既に可決しており、県議会も予算2122万8千円を認める見通し。廃棄物処理法に関する行政代執行が実施されれば、県内では1995年に続き2例目となる。

 県と市によると、同社は2019年7月から、神埼市千代田町の借地(約300平方メートル)に解体廃材の不適正保管を始めた。近隣住民や市が撤去を呼び掛け、同社は「片付ける」と応じる意向は示したが、進展はなく、県は20年3月以降、口頭指導22回や文書指導3回など、再三指導を重ねてきた。

 県と市は7月上旬に措置命令を出したが、撤去を求める履行期限の8月31日までに目立った改善はなく、今後、県と神埼市が共同で行政代執行を実施する。費用は同社に求償するが、産業廃棄物処理事業振興財団の支援制度活用の協議も進めるという。

 廃棄物は高さ約5メートルにも及び、近隣住民は2年以上にわたって悩まされてきた。近くに住む男性(74)は「話し合いをしても全然進まんかった。暑い日は臭いもあった」といい、別の男性(70)は「見るのも嫌で雨戸を閉めていた。行政が動いてくれて安心もちょっとある。業者には罰を与えたいとかはないが、責任は取ってほしい」と話した。

 県循環型社会推進課の担当者は「巡回監視の回数を増やしたり、監視カメラで適宜確認するなど体制を強化する」と再発防止に努めることを強調。市生活環境推進室の担当者は「地区住民の皆さんは複雑な心境だと思う。少しでも早い解決に向けて県と協力して進めていく」と話している。

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