2019年に死亡事故が起きた唐津市の虹の松原。県が再発防止のための巡視などを業者に委託していたが、委託内容を一部履行していないなどの不正が確認された

 佐賀県は30日、唐津市の虹の松原の県道で2019年7月に起きた死亡事故を受け、再発防止策で強化していたマツの巡視点検について、業務委託先の業者が一部怠るなど不正を繰り返していたとする調査結果を発表した。20年10月以降、一部区間のみの実施が計11回あった。県は、業者を10月1日から12月14日まで指名停止処分にした。

 受託業者は平野建設産業(唐津市)。県道「虹の松原線」の往復約10キロを徒歩で巡視する業務で、事故後の19年8月以降は週1回から2回に増やしていた。

 県の調査では、20年11月以降の全74回の巡視のうち、9回が一部区間の実施だったことが判明。半分程度で切り上げ、報告では全区間での実施を装っていた。県の承諾を得ずに別業者に巡視を再委託したケースが29回、巡視日などに関する虚偽報告は49回あった。過去の契約分でも20年10月に巡視の一部未実施が2回あったが、事故以前の分で未実施は確認されなかった。

 不正は一部報道で明るみに出た。県が報道機関から問い合わせがあった7月末から調査し、会社への聞き取りや関係書類の確認を進めていた。唐津土木事務所の岸川俊介所長は「結果として巡視の強化が実現できておらず、非常に重く受け止めている」と述べた。県は契約額の減額や過去分の返還請求も検討している。

 他の路線の維持管理を含めた委託内容になっていたため、再発防止策として今後は虹の松原線の巡視に限定した発注や、抜き打ち検査をする。巡視には9月から別の業者が同行しており、10月からはこの別の業者に切り替わる。

 事故は19年7月、倒れたマツと車が衝突し、乗っていた当時小学5年の川﨑辿皇(てんこう)君が亡くなった。

 母親の明日香さん(39)は調査結果について「ずさんな実態にあきれた。県も建設会社も事故に向き合っておらず、どうしたら事故の教訓が伝わるんだろうか」と嘆く。「回数だけ増やしても意味がない。月1回でも樹木医が同行するなど中身を考えてほしい」と実効的な対策を求めた。(円田浩二、横田千晶)

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