開設から50分での出来事だった。8月13日午後5時50分。11日朝から降り続く雨が激しさを増す中、佐賀市中心部の勧興公民館に設けられた自主避難所が閉鎖された。やや高い場所にある公民館は浸水していない。それでも、周辺の道路は大人の腰近くまで冠水しているところがあり、避難者の誘導が危うくなった。

 「大雨が降ると、あちこちの道路が冠水し、子どものころは学校に行くのも苦労した」。近くに住む30代男性は振り返る。有明海に雨水を排水するポンプ場の整備が続き「長く住む人は以前よりだいぶよくなったと言うし、実感としても冠水は少なくなった気がしていた。だけど、近ごろの異常気象で、雨の季節は不安になる」とため息をつく。

大雨で冠水した道路。佐賀市では毎年のように市街地が水害に見舞われている=8月14日、佐賀市唐人

 水害は市の中心部にとどまらない。金立町大門地区では2019年8月の「佐賀豪雨」の際、地区を流れる金立川があふれ、土石流が民家を襲った。被災した2軒の住民は、住み慣れた土地を離れた。

 今回の大雨では、佐賀県が上流で整備を進め完成間近だった砂防ダムが土砂を食い止めた。家の裏を金立川が流れる広瀬政勝さん(69)は「川の流れが激しく、土石流を覚悟した」と振り返る。雨が落ち着いて砂防ダムの工事現場に行くと、上流からの土砂が堰(えん)堤(てい)にたまっていた。すぐ下流には約40軒の集落がある。「また土石流が襲っていたらと思うとぞっとした」

 大雨のたびに繰り返される浸水被害。佐賀市は長年、課題として対策を講じてきた。市内約600戸が床上、床下浸水した2012年7月の九州北部豪雨を契機に、14年度からは30年計画の「排水対策基本計画」をスタートさせた。18年度までの5年間を短期対策と位置付け、浸水被害が多かった佐賀駅周辺の水路改修や、排水能力向上のため石塚雨水ポンプ場(諸富町)の整備などに取り組んだ。

 近年は「数十年に一度」の大雨が全国的に頻発するなど、これまでの経験を超える降雨が相次ぐ。佐賀市は18年の佐賀豪雨を踏まえ、20年度から44年度までの中長期計画を見直し、概算事業費350億円を見込む改訂版を打ち出した。

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