オンラインシンポジウムで事件について語る柳田邦男さん(右)と浅野史郎さん(オンラインの画像を加工)

 佐賀市で2007年、警察官に取り押さえられ、直後に死亡した知的障害者の安永健太さん(当時25歳)の悲劇を繰り返さないためのシンポジウムが25日、オンラインで開かれた。命日に合わせて、主催団体が再発防止策として警察官の活動内容を定めた警察官職務執行法(警職法)の改正を提言した。

 安永さんは14年前の9月25日、自転車で走行中、停止を求めた警察官の手が肩に触れたのに驚いて抵抗、警察官5人に取り押さえられ、搬送先の病院で死亡した。刑事、民事裁判共に最高裁まで進み、警察官の無罪、遺族の敗訴となった。

 弁護士や障害者団体の関係者で17年に設立した「安永健太さん事件に学び 共生社会を実現する会」(事務局・東京)がシンポジウムを開いた。同会は裁判を通じて、安永さんは知的障害者でなく、現在の警職法にある「精神錯乱」と判断されていることから、現行法では警察官の対応が正しくなると指摘。改正案では「精神錯乱」の用語を削除し、障害特性に応じた注意義務や障害特性を学ぶ研修を義務付けることを盛り込んでいる。

 研究者やメディア関係者らがパネリストになり、「『精神錯乱』は精神障害や知的障害への偏見や差別を助長する言葉」などと語った。最後に同会世話人でノンフィクション作家の柳田邦男さんが「この提言は制度改革、組織改革、意識改革の起点になる」、同会代表世話人で元宮城県知事の浅野史郎さんは「警察官の無知がもたらした事件。障害者は社会に出ていって、社会が障害者を知る必要がある」と結んだ。約350人が聞いた。(宮﨑勝)

このエントリーをはてなブックマークに追加