この夏場は例年よりもぼうこう炎で受診される患者さんが2割ほど増えています。当院では昨年からやや増加傾向がありますが、夏の水害後にまた少し増えた印象です。

 排尿の終わりかけのしぼられるような痛み、排尿してもずっと残った感じが続いて眠れないほどの症状は大変つらいものなので、どうしてかかったのかと悩まれますが、細菌やウイルスなどが起こす炎症性の病気は100%予防することは難しいものです。ぼうこう炎に関しては陰部を清潔にすることはそれなりの予防効果があると思いますが、陰部をゴシゴシ洗ったり、温水洗浄便座で強く洗浄したりすることは、陰部の皮膚を弱くしてしまいかえってぼうこう炎にかかりやすくなったり治りにくくなったりする可能性もあります。ぼうこうに入り込んだ細菌はどんなに強く温水洗浄便座で洗っても洗い流すことはできません。「陰部の手入れはお顔の手入れと同じくらいの刺激で」を目安にするとよいでしょう。

 治療には抗生物質の飲み薬を使うことが多いのですが、薬を飲むだけでなく、休養、睡眠、栄養をしっかり取り、体の調子を整えることも大切です。これらは風邪などと同様の療養です。しかし、風邪が咳や喉の痛み、声枯れなどで周囲にもわかりやすいのに対して、ぼうこう炎についてはそのつらさが周りに伝わらないので、つい我慢して無理をしてしまいがちです。ぼうこう炎もこじれると腎盂腎炎(じんうじんえん)になり高い熱が出ることもあります。腎盂腎炎は肺炎と並ぶ怖い炎症のひとつです。

 季節の変わり目は体調を崩しやすい時期です。普段から体調を整え、ぼうこう炎だけでなく、さまざまな炎症に打ち勝てるようにしておきたいものですね。

 (なかおたかこクリニック院長 中尾孝子)

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