愛知県の大村秀章知事のリコール(解職請求)運動を巡る署名偽造事件で、地方自治法違反(署名偽造)の罪に問われた運動事務局長田中孝博被告と次男雅人被告に対する検察側冒頭陳述の要旨は次の通り。

 【経緯】

 田中被告は知事に対するリコールの動きを把握し、昨年6月1日、事務局を取りまとめることを決めた。同8月26日から署名収集が始まり、必要数は86万筆余りだった。同9月30日時点で署名数は累計6073筆にとどまり、田中被告はこのままでは成功しないと考え、偽造を企てた。

 【準備】

 田中被告は同10月1日、スマートフォンで名簿業者を探すとともに、雅人被告に、名簿購入の事実が発覚しないよう愛知県から離れた場所にある業者から購入することなどを指示した。

 田中被告は同6日、雅人被告と共に東京へ行った。雅人被告に代金を手渡し、533万円で愛知県に居住する20歳以上の約80万人が掲載された名簿データを購入させた。

 田中被告は広告関連会社元社長山口彬被告に「代筆をする人集めをお願いしたい」と言ったところ「代筆って駄目ですよね」と疑問を呈された。これに対し「署名なんていちいち本人に確認しない。リコールが成立しなかったら署名簿も戻ってくるので、すぐに廃棄すればばれない」と言って説得した。山口被告から、一切の責任を負わないことなどを条件に引き受けると言われ、了承した。

 山口被告は佐賀市の佐賀県青年会館を会場として確保し、アルバイトの手配を行った。田中被告は雅人被告らに、署名用紙や名簿データを佐賀市まで運搬させた。

 【犯行状況】

 田中被告は同10月20日、雅人被告を介し、山口被告の会社の関連会社従業員に、署名偽造の方法や注意点を伝えた。従業員は指示に基づき、署名偽造を開始した。

 田中被告は山口被告に、70万~100万人分の署名を書き写すよう指示し、同10月23~26日、アルバイトに携帯電話持ち込みや資料持ち出しをしないと誓約する秘密保持確認書に署名させた上、名簿に記載されていた氏名などを書き写させた。

 【犯行後の状況】

 雅人被告らは、偽造を遂げた署名簿を名古屋市に運び込み、田中被告らが指印を押した。同11月4日、選挙管理委員会に仮提出した。田中被告はその後、雅人被告に、佐賀から持ち帰った書類を破砕処理させた。

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