金融庁は、システム障害が相次ぐみずほフィナンシャルグループとみずほ銀行に、銀行法に基づく行政処分として業務改善命令を出した。システムの保守や更新に当たり作業計画の提出を求め、同庁がみずほのシステム運営を事実上監視する異例の対応を取る。

 障害続発で個人・法人の顧客に被害が及んだだけでなく、日本の金融システム全体への不安を増しかねない事態となっていた。当局とみずほが共同して再発防止と危機克服に当たってもらいたい。

 みずほ銀では今年になって計7回のシステムトラブルが発生した。

 最も大規模だったのが2月末の障害で、全国で現金自動預払機(ATM)の8割が停止。5千超のキャッシュカードや通帳が内部にのみ込まれ、取り出せなくなった。障害の規模に加え、事態把握と顧客対応の遅れも問題視された。

 その後も、ATMの停止や機器の故障による外貨建て送金の遅れ、店舗窓口での入出金不能などの問題が発生。最近では今月8日、機器の不具合により約100台のATMが一時停止し、利用できなくなった。

 みずほでは春に連続した障害を踏まえて6月、第三者委員会による調査報告書を公表。その中で再発防止策を打ち出したにもかかわらず、その後もトラブルが収まっていないことが事態の深刻さを表している。

 金融庁が今回、業務改善命令を出す中で、実質的にシステムの管理・監視へ乗り出すのもそのような背景があるためで、異例の対応もやむを得ないだろう。

 具体的には、システムの更新や適切な管理などについて10月末までの計画提出と、速やかな実行を命令。春から実施している同庁による検査は継続し、場合によっては追加処分もあり得るという厳しい姿勢を示した。

 みずほにシステム障害により改善命令が出されるのは今回で3回目だ。新銀行が再編発足した2002年4月と、東日本大震災直後の11年3月にも深刻な障害を起こし、いずれも改善命令が発出された。

 それでも障害が再発したことは、銀行経営や管理体制などみずほ内部の問題とともに、金融庁による監督・指導の有効性にも疑問を投げかけたと言える。

 今後、システム運営に当局として関与することになれば、その後に再度障害が発生した場合、金融庁の責任も問われる。そのようなリスクを承知の上で今回の対応に踏み切ったことは、同庁としても「背水の陣」を敷いたと理解すべきだろう。

 みずほは過去の障害を受け、その防止などを目指した新基幹システムを約4500億円の巨費を投じて19年に導入した。今回の一連のトラブルは新システムの下で発生しており、機能上の問題の有無が改めて問われる。金融庁による検査と監視の焦点となろう。

 みずほ経営陣の責任の重さは言うまでもない。6月の報告書は「組織としての危機対応力の弱さが顕著に表れた」と分析しており、その改革は一朝一夕では成るまい。

 既に社内処分として関係役員の報酬削減を実施しているが、それにとどまらず経営トップを含む人事刷新が今後求められて当然である。

 わが国の金融システムの中核を担う銀行として、解体的な出直しをすべき時だ。(共同通信・高橋潤)

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