子どもの頃好きだったテレビドラマの一つに「柔道一直線」がある。必殺技の「地獄車」に引き込まれた◆この人の生涯も「柔道一直線」だった。大会直前に大けがをしながらも、バルセロナ五輪で金メダルに輝いた古賀稔彦さんである。53歳という早過ぎた死からきょうで半年。存命ならきっと、9個の金メダルを獲得した東京五輪の柔道に連日大喜びしていただろう◆この半年、古賀さんの功績を次代につなごうという動きが目立った。小中学生が佐賀の偉人を学ぶ「まほろばツアー」はその一つ。8月に開かれ、古賀さんの兄元博さんの講話や、古賀さんの生涯を描いた劇を上演。子どもたちは、みやき町の千栗八幡宮にある約150段の石段も上った◆この石段は古賀さんが少年時代、毎日駆け上って心身を鍛えた場所で、「栄光への石段」と呼ばれている。子どもたちはツアーを通し、鍛錬を重ねる意義や最後まで諦めない大切さを学んだ◆遠い昔の佐賀の偉人を知ることも大事だが、同時代を生きた偉人に触れることにも意味がある。「あきらめないで続けると必ず良いことがあるということが分かりました」とは、ツアーに参加した小学男児の感想。確かに、諦めなかった人だけがたどりつける場所がある。栄光への石段とはよく名付けたと、秋の彼岸に思う古賀さんの月命日である。(義)

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