医療系のドラマが好きだ。この数カ月は「死者はゼロです」のせりふが印象的な救急救命のドラマにはまった。フィクションではあるが、目の前の命と向き合い、助けるやりがい、助けた喜びは、コロナ禍の最前線にある医療現場にも共通すると思う。改めて感謝したい◆もちろん、ドラマチックな話ばかりではないだろう。映画「いのちの停車場」は終末期医療がテーマ。主演の吉永小百合さんは大学病院を辞め、在宅医療中心の小さな診療所に移った女性医師を演じた。小児がんを患った女の子がこう語る場面がある。「パパもママも頑張れっていうけど、何を頑張ればいいの?」。自分の病気の重さが分からない少女に前を向かせようとする家族と医療スタッフの姿に切なくなった◆9月は「がん征圧月間」。日本人の3人に1人ががんで亡くなるといわれるが、早期発見、早期受診の意識の高まりと治療技術の向上により、がん生存率は上がっている◆先日、嗅覚が鋭い線虫の反応を利用し、膵臓(すいぞう)がんの早期発見につなげるという研究成果を記事で読んだ。それぞれの立場でがんと向き合う人がいる。患者に寄り添ってくれる医師がいる。闘病中の人もきっと大丈夫◆10月からは「私、失敗しないので」を決めぜりふにしたドラマの新シリーズが始まる。やはり、命が助かる物語がうれしい。(義)

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