緊張した面持ちで、リモートで面接を受ける男子生徒=16日、佐賀市の北陵高校

 来春卒業予定の高校生を対象にした企業の採用活動が16日から始まった。昨年同様、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける中での活動となるが、佐賀県内の求人状況は高水準で推移し、高校生の地元志向も強まっている。人口減少対策、産業界の活力維持の面でも、高校生の地元定着は重要だ。コロナ後も今の流れが継続するような施策や取り組みが求められる。

 佐賀労働局によると7月末現在、就職を希望する高校生は前年同期比64人減の2116人。過去20年で見ても就職希望者数は減少傾向が続いており、1997年度の4243人からおよそ半減している。少子化が大きく影を落としているが、大学など進路選択の多様化も影響しているとみられる。

 佐賀県では、進学、就職などに伴う高卒者の県外流出に歯止めをかけようと、高校生に県内就職を促す取り組みに注力。高校2年生や保護者に向けた合同企業説明会などを開き、県内企業と生徒や保護者、学校を橋渡ししてきた。

 こうした取り組みの成果もあって、50%台にとどまっていた高校生の県内就職率は上昇。2019年度に60・7%と6割台に乗せ、20年度は65・4%(速報値)と18年ぶりに「65%以上」を達成した。地元志向の強まりの背景には、コロナ禍で「保護者はもちろん、生徒本人も家を離れたくないという声が多い」という学校関係者の指摘もある。

 コロナ禍が続く今年も地元志向は強まっており、県内への就職希望者の割合は前年同期を5・0ポイント上回る67・9%で、過去最高となっている。好材料は、緩やかな業況改善を背景に企業の採用意欲が前年よりも旺盛になっていることだ。来春高卒予定者への求人倍率は7月末現在、前年同期比0・15ポイント増の1・56倍と過去3番目の高水準となっている。特に建設や製造業などで増えており、いずれも人手不足に悩みを抱える企業が少なくない。

 少子化に伴い労働人口のボリュームゾーンは高年齢化が進み、企業では65歳以上の活用とともに若手人材の確保、育成が課題となっている。都市部への若者の流出が続く中、地方の中小企業にとって重要課題の一つとなっているだけに、高校生の目が県内に向けられている今は好機といえる。

 県は本年度から、社員寮や住宅手当を設けて通勤圏外の高校生を採用した県内企業に1人当たり月1万5千円を補助する住居支援制度をスタートさせた。企業説明会などで高校生に県内企業の魅力を発信するとともに、こうした企業の福利厚生の底上げを促す取り組みこそが高校生の地元定着につながる。採用実績が出てくれば、さらに生徒、学校側の県内志向も強まるはずだ。行政、経済界など関係機関で連携した取り組みを進めたい。(梶原幸司)

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