河内町の山中に鎮座する舟石権現

 鳥栖市河内町にある河内ダムから山道を南へ1キロほど行くと、道沿いに突如巨大な石造物が現れます。この巨石は、風を受けて帆がいっぱいに膨らんだ帆掛け船のように見えることから、地元では舟石権現(ふないしごんげん)と呼ばれています。

 巨石を組み合わせた舟石権現ですが、造られた時代や制作者など詳細は不明です。このような巨大な石造物には何か目的があったと考えられていますが、神が降りてくる依代(よりしろ)であるという「磐座(いわくら)説」、神話などに登場する天と地上を結ぶ船であるという「天磐船(あまのいわふね)説」、古代の基肄(きい)郡と養父(やぶ)郡の境界を示したという「郡境石説」、古代に土地を区画した条里制を決める際に東西南北の指標としたという「条里指標説」などが提唱されていますが、いまだ定かではありません。

 また、巨石の裏側に回ると石造の大日如来が祭られています。これは江戸時代の天保4(1833)年に開かれた基養父(きやぶ)八十八カ所の四番札所として、瓜生野町の古賀文兵衛が施主として建立したものです。

 長い年月の風雨に耐え、今なお見る者を圧倒する巨石は、古くから人々の信仰の場でもあったようです。(地域レポーター・田中健一=鳥栖市儀徳町)

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