新たな表現を目指した意欲作に見入る来場者たち=佐賀市の佐賀玉屋(撮影・米倉義房)

 温かみのある濁手(にごしで)素地に赤絵の具を施した優美な「柿右衛門様式」。伝統を継承しつつ、新たな表現を盛り込む十五代酒井田柿右衛門さん(53)=有田町=の展示会が15日、佐賀市の佐賀玉屋で始まった。伸びやかな筆致で描いた梅や、近年モチーフに取り入れているバラなど約70点が並ぶ。27日まで。入場無料。

 バラが咲き誇る「濁手 薔薇文(ばらもん) 花器」は、この展示のために制作した。「先代が玉屋でバラの陶板を飾っていたのが記憶にある。玉屋といえば、やはりバラかなと思いまして」と十五代柿右衛門さん。当初は赤い花のみ施していたが、黄色い花もちりばめた。つぼみが開いたような器の形と相まって、華やかな印象に仕上がった。

 「濁手 葡萄(ぶどう)文 花瓶」は赤い葉に小粒の実を付けたブドウが細やかに描かれる。ブドウは赤ワインの原料に用いられる品種。山梨県のワイナリーに出向いてスケッチするなど、新たなモチーフを探求している。

 乳白色の素地に、赤・青・緑・黄・紫の5色を加えた「余白の美」に象徴される柿右衛門様式だが、その枠にとらわれない。色数を絞ったり、裏表を同じように描き込むなど、自らの個性と理想を追い続ける。

 2014年に十五代を襲名し、作風も変化してきた。「襲名当時は大きいパーツを目指していたが、一つ一つを小さく描き、白を多く残したいと思うようになった」と7年間を振り返り、「伝統を受け継ぎながらも、自分の作りたいもの、理想を求め、融合させていきたい」と語っている。(福本真理)

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