「鹹湖の月1」(1988年、F150号)

「虹の交響」(1982年ごろ、変形150号)

西の浜でたたずむ画家の森通さん。1980年代に撮影されたとみられる(唐津市近代図書館提供)

日が沈んでいく地平線を描いた「マグレブの空」=唐津市近代図書館

「大地」(1991年、F20号)

初期の作品で、当時流行した重厚で厚みのある油彩画。左から「ジュラ紀の化石」「甲羅とハサミ」=唐津市近代図書館

 少年期を唐津市で過ごし、独立展で活躍した洋画家の森通さん(1926~2001年)の没後20年を記念した回顧展が、唐津市新興町の市近代図書館美術ホールで開かれている。唐津の海と、砂漠の地平線に魅せられた画家が手掛けた作品群。幻想的で、大自然に包まれるような展覧になっている。26日まで。

 森さんは中国・大連生まれで、母親の療養のため幼少期に唐津市佐志に移住した。戦後、福岡県久留米市出身の洋画家の坂本繁二郎(1882~1969年)に師事。72年に詩人の山本太郎との旅行でサハラ砂漠の美しさに感銘を受け、地平線が広がる砂漠シリーズを手掛けてきた。

 森さんは生前、講演会で「なぜ水平線、地平線に惹(ひ)かれるんだろうと思いましたら、少年の頃、毎日見て暮らした水平線と砂漠の地平線とが重なって、僕の中で作品になっているのではないか」と語っていた。

 回顧展では、画材を分厚く重ねていた初期作から、溶け込むようなグラデーションで描かれた「大地」などの砂漠シリーズまで28点が並ぶ。月に照らされた塩湖の作品「鹹湖(かんこ)の月1」は、その光に引き込まれる。JR唐津駅北側に飾られている壁画「虹の交響」の原画は、東西に広がる唐津の海の風景を捉えている。濃紺に描かれた虹の松原を脇に、パワーあふれる空の表現と大胆な色使いが光る。

 師匠の坂本氏とやりとりした手紙や旅日記、旅行でのスケッチなどの写真も展示し、人となりがうかがえる。同館学芸係の坂元大地さんは「書き残したものも多く、筆まめな性格が分かる。子どもから大人まで楽しめるように解説を付けているので、ぜひ気軽に立ち寄って」と話す。(横田千晶)

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