部活動を終えた中学時代の土曜午後、顧問の教師が時々、ラーメン店に連れていってくれた。絶品で、高校以降もよく食べに行った。だが、社会人になっていつの間にかなくなっていた◆おいしく、ボリュームがあって価格も安い「大衆食堂」は学生やサラリーマンの味方。多くは家族経営で居心地もいい。長く続いてほしいが、現実はそう甘くはない。子どもにその気がなかったり、親に引き継がせる気がなかったり。好不況にかかわらず、事業承継は難しい◆コロナ禍のこの1年半で、店を畳むという張り紙を目にすることが増えた。先日、近所の鮮魚店が閉店。半世紀続いていた佐賀市の大衆食堂も閉店した。さまざまな事情があるだろう。お疲れさまでした。本紙記事にあったように、2回続けて豪雨被害に見舞われた武雄市の飲食店も葛藤が大きいと思う。頑張ってとしか言いようがない◆人が幸福を感じるのは人に愛される時、人に褒められる時、人の役に立つ時、人に必要とされる時、といわれる。その多くは「働く」ことで得られると感じる。料理人も食べる人の笑顔にやりがいを感じてきたのだと思う◆食べて飲んで会話して。私たちにできる応援はそれくらいだが、気になりながらもご無沙汰している店は多い。今は食べに連れていく立場。まずは大衆食堂に、と思っている。(義)

下記のボタンを押すと、AIが読み上げる有明抄を聞くことができます。

このエントリーをはてなブックマークに追加