落語家の桂小金治(こきんじ)さん(1926~2014年)は子どもの頃、父にハーモニカをねだったことがある。父は「こっちがもっときれいな音が出る」といって草笛を吹いた。「お前にもできるはず」と言われた小金治さん。練習したがうまくいかず、3日であきらめてしまう◆そのことを知った父が言う。一念発起は誰でもする。取りあえずの実行もする。努力までならみんなする。そこから一歩抜きんでるためには、努力の上に辛抱という棒を立てる。この棒に花が咲く、と◆小金治さんは再び練習し吹けるようになった。父に報告した翌朝、枕元にハーモニカが置いてある。父は「努力の上に辛抱という棒を立てたんだ。花が咲くのは当たり前」。母に報告すると「お父さんは3日前にハーモニカを買っていたよ。あの子は絶対に吹けるようになるってね」◆この話とコロナ禍の今を重ね、「辛抱」と「我慢」の違いを考えた。我慢はやりたくないことをこらえる負のイメージ、辛抱はやりたいことを実現するプラスのイメージを感じる◆旧唐津市に発令されていたコロナの「まん延防止等重点措置」はきょうまでで解除される。みんなの努力のおかげだろう。11月にはワクチン接種や検査の陰性証明で行動制限も緩和される予定。とはいえ油断は禁物。もうしばらく辛抱を重ねよう。きっと花が咲く。(義)

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