ドラマや映画で「裁判」が描かれる時、証人は「良心に従って真実を述べます」と法廷で宣誓する。有罪か無罪かはもちろん、量刑を左右するため、うそと分かった時は「偽証罪」に問われる◆この罪名は知っていたが、証人に偽りの証言を依頼した時に適用される法律が「組織犯罪処罰法」とは知らなかった。この法律は、暴力団やテロ組織などによる組織的犯罪を取り締まる意味合いが強く、共謀罪の趣旨などを盛り込んで2017年に改正された際、虚偽証言の報酬支払いやその約束を禁じる規定が新設された◆カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件で東京地裁はきのう、衆院議員秋元司被告に懲役4年の実刑判決を下した。この事業への参入を目指していた中国企業からの収賄容疑に加え、保釈中、裁判で虚偽の証言をするよう中国企業側に依頼した。分かりやすく言えば、証人の口をお金でふさごうとした疑いだ◆作家宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』は学校内で起きた事件を巡り、生徒たちが自分たちで裁判を開き、真相を探ろうとするミステリー。保身に走り、真実に迫ろうとしない学校や社会に対する子どもたちの抗議のようにも思えた◆うそを重ねた秋元被告はそれ以上に低劣といえるだろう。法廷を汚し、政治不信を強めたその罪は、判決以上に重い。(義)

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