〈星は星のみ相通ふ/奇(く)しき言葉のありときく/学舎同じき友輩(ともがら)に/通ふ奇すしき思念(おもい)あり〉。佐賀商業高の校歌である。卒業生でもないのに、歌い出しは口ずさめる◆記者駆け出しはスポーツ担当。野球の取材をしながら、昔の佐賀球場で何度も聞いた。1994年、全国制覇を果たした際も甲子園のスタンドで。歌詞、曲ともに味わい深く、今でも耳に残っている◆入学式、卒業式、始業式、終業式、全校集会。体育館の壁には歌詞が掲げられ、生徒は集まるごとに校歌を歌った。面倒くさくて口だけ動かして叱られたり、歌い直しをさせられたりしたのも懐かしい思い出である◆先日、県内の高校の先生が心配していた。「今の1、2年生は校歌を覚えていない生徒がいるんですよ。なにせ、集まって歌う機会がないですから」。新型コロナ感染防止のため、学校では大勢が集まる行事をできるだけ控えている。2学期の始業式もリモート形式で、紙面には生徒の姿がない写真が載っていた◆ワクチン接種が進んできたとはいえ、10代はこれから。集団感染への警戒を緩めるわけにはいかない。学舎同じき友輩も、顔をそろえられない厳しい状況で、2年生は入学時からずっと続いている。自由に校歌が歌える日はいつになるのか。「歌う機会がなかった」では、寂しすぎる思い出である。(知)

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