週に1度、郊外の小児科クリニックで診療をしていますが、手足に蚊刺痕がたくさんある子どもたちの多いことに驚きます。戸外で遊ぶ機会が増えていることに加えて、この年代の子は刺された後の症状が強く長く続くためでしょう。蚊に刺されると直後に膨隆疹(ぼうりゅうしん)ができかゆみが出現します。これは即時型のアレルギー反応です。成人では1時間程度で症状が跡かたなく消えますが、幼児期から小学校くらいまでの子どもはその後遅延型アレルギー反応が起き、かゆみのある赤い丘疹になります。強いかゆみのためかき崩して膿痂疹(のうかしん)(とびひ)の原因にもなります。幼児~児童の時期は免疫反応が強いために、成人よりも蚊刺症が重症なのです。ちなみに高齢者は蚊に刺されても遅延型反応が起きず、即時型反応も軽いかほとんど起きなくなります。症状の軽い大人が“蚊に刺されたくらいで”と軽く考えるのは、小さい子にはかわいそうです。即時型反応だけならばかゆみ止めの抗ヒスタミン薬の塗布で良いと思いますが、遅延型反応を起こす小さい子では抗ヒスタミン薬にステロイドの入った薬の塗布が良いと考えています。
 九州には黒くて体に白いすじが入ったヒトスジシマカと、小型で薄赤色のアカイエカとがいます。草木のある公園などにいるのは主にヒトスジシマカで日中に活動します。家の中に入ってくるのは夜活動するアカイエカです。ヒトスジシマカはジカ熱やデング熱を、アカイエカは日本脳炎を媒介します。蚊のいる時期に外で活動するときには忌避剤のスプレーを衣服に噴霧するのも一案です。スプレーには忌避剤としてディートかイカリジンかどちらかの成分が入っており、濃度も種々のものが市販されています。乳幼児にはイカリジンの方が安心です。ディート入りを使用する場合は低めの濃度(10%未満)の製品を使用し、顔面には使わない、吸い込まない、回数を多く使いすぎないなどの注意をします。自宅の庭で刺される場合は、ボウフラの発生源となる水の入った空き缶や瓶が放置されていないか、蚊の隠れ家になる雑草がないかをチェックして下さい。水たまりのチェックと庭の風通しをよくすることで、蚊の発生がぐんと抑えられます

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