♪しゃぼん玉飛んだ/屋根まで飛んだ(作詞・野口雨情、作曲・中山晋平)。近所の子どもに歌って聞かせたら、質問してきた。「しゃぼん玉が割れないで飛べるようなやわらかい風なのに、どうしておうちの屋根が飛んだの。おかしいわ」◆しゃぼん玉が屋根の高さまで飛んだと何の疑問もなく歌ってきたが、その子は「屋根までが飛んだ」と主語として理解した。問われたのは作家の半藤一利さん。「まで」はなかなかに意味深長なる言葉と、エッセーに書き留めている◆日本語は複雑で、思いもよらない受け取り方をされる場合がある。新型コロナ対策に関連して、菅義偉首相の会見記事の見出しが話題になった。見出しは「感染急拡大の原因はデルタ株と首相」。「原因はデルタ株」と首相が述べたという意味だが、原因は「デルタ株と首相」にあると読んで揶揄(やゆ)する反応があった◆国民にも、自民党内にも“誤認”に共感する人が多いと感じたのだろうか。菅氏が昨日の党役員会で、総裁選に立候補しない意向を表明した。必然的に首相辞任につながる。突然の表明で、まさに政界は「一寸先は闇」である◆首相就任からほぼ1年、コロナ禍の厳しいかじ取りだったのは確かである。♪屋根まで飛んで/こわれて消えた。これまでの尽力に敬意を表し、この一節は口ずさむのを控える。(知)

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