害獣退治に活躍する暗視カメラ。赤外線センサー(上部の黒い部分)が反応するとカメラ(中央)で録画する

暗視カメラがとらえたイノシシ(県佐城農業改良普及センター提供)

赤外線センサーを活用した箱わなで、捕獲されたアナグマ(県藤津農業改良普及センター提供)

 農作物を食い荒らすイノシシなどの鳥獣被害の対策に暗視カメラが力を発揮している。今まで分からなかった被害の実態が把握できるようになり、具体的な対応策が打てるようになった。被害の「見える化」で危機感が共有され、集落ぐるみの対策にもつながっている。

 暗視カメラは、生き物などの熱に赤外線センサーが反応してカメラが作動し、動画や静止画が撮影できる。内蔵カードに記録するのが一般的だが、通信機能を備え遠隔地でスマートフォンなどで映像を見られるものもある。消耗品で値段は1台数万円ほどという。

 県内では10年ほど前から、県農業改良普及センター(県内6カ所)に数台ずつ配備され、鳥獣被害対策のモデル地区などで現場レベルで工夫し利用されるようになったという。

 中山間地に位置する伊万里市二里町の中田集落では、金属製の柵「ワイヤーメッシュ」で集落を囲っていたが稲や大豆にイノシシの被害が多発していた。箱わなを設置しても効果がなかったため、2017年から対策に乗り出し、暗視カメラで調べたところ、イノシシが来る前、アライグマやアナグマが餌を食い尽くしていることが判明。中型動物用のわなを設置するとアライグマなどが多数捕獲でき、その後、イノシシも捕獲できた。

 「今までは、捕れない捕れないとぼやくだけだった」という関係者は、「カメラで状況が一目瞭然だ。原因も分かり、対策も立てられるようなった」と効果を語る。

 鹿島市嘉瀬の浦地区では、ICT技術を使って効果をあげている。ミカン園などに暗視カメラを設置したところ、イノシシが最多で、アライグマも多いことを確認。赤外線センサー付きの箱わなを設置、センサーの感知深度を調整して、うり坊など“小物”を排除し、2020年度までの約2年間でアライグマなど15頭を捕獲した。その後、イノシシの捕獲にも成功したという。

 県内の鳥獣害対策を統括する県生産者支援課は、暗視カメラの効果について「被害の生々しい実態が『見える化』されるため、危機感が集落で共有される」と、住民の意識を高めるメリットも大きいと指摘する。鳥獣害対策は個々に取り組んでも効果は薄く「集落ぐるみの対策」が肝心。カメラの導入後、集落の見回りやワイヤーメッシュの補強などに住民が積極的に関わる例が見られるという。

 同課によると、最近、県内全体でイノシシの捕獲頭数は増えているが、全体の数自体も増えているとみられ、被害額は増加傾向という。生産者支援課では「被害の実態は個々に違う。カメラなど活用し、地道に対策に取り組みたい」と話している。(宮里光)

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