障害児のいる家庭に支給される国の「特別児童扶養手当」で、自治体に申請しても「障害が基準より軽い」として却下される件数が2019年度までの10年間で3倍近く増えていたことが29日、国の統計データから分かった。

 申請の6割超を却下している自治体もあった。支給の可否を決める自治体の判定医の審査が厳しくなっている可能性がある。審査基準が曖昧で、判定医の個人差で左右されかねないとして、障害者団体からは基準の明確化や審査方法の見直しを求める声が上がっている。

 同手当は、障害児を育てる経済的な負担を補うのが目的で、全国で約24万人が受給。申請に基づき、都道府県と政令指定都市の判定医が審査して支給の可否や金額の等級を決めている。

 厚生労働省の統計「福祉行政報告例」によると、09年度の却下件数は1410件だったが、19年度は3950件と2・8倍に増加。一方、申請件数は19年度に約3万8千件で、09年度の1・4倍にとどまる。

 審査した件数に占める却下の割合は09年度の5・3%から、19年度は10・5%に上昇。10人に1人が不支給となっている。

 横浜市では、ここ数年3~4%台だった却下の割合が19年度に63・5%と急増。判定医の1人が交代したことが要因とみられるが、市は「審査は適正に行っている」としている。19年度の却下率が高かったのは他に千葉市39・7%、宮崎県26・2%、山形県23・8%など。一方、秋田県は0%、岩手県0・2%など自治体間の差も大きい。

 佐賀県は09年度の申請228件のうち却下26件、11・0%、19年度は申請365件のうち却下75件、19・6%と却下率が高くなっている。

 申請の却下とは別に、受給後に更新時の審査で打ち切られるケースも増加傾向にあり、16年度には09年度の2倍近い3880件に増えていた。

 厚労省は、軽度の発達障害でも申請したり受給したりする例が増えていることを理由に挙げるが、識者からは「厳しい社会保障財政に対する判定医の意識が反映されているのではないか」との指摘も出ている。(共同)

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