赤羽一嘉国土交通相(左)の被災地視察に、六角川流域6市町の首長(右)が顔をそろえ、各市町の状況を説明。流域治水も話題に上った=武雄市朝日町の高橋排水機場

六角川の水害を軽減する主な取り組み

 武雄市の災害現場を26日に視察した赤羽一嘉国土交通相に、杵島郡白石町長の田島健一町長が持論の水害対策を説明した。「六角川に流している雨水を有明海に排水できれば。そうすれば水位が下がり、ゆとりが生まれる」

 白石町の雨水の一部は六角川に流れ込んでいる。その水を、有明海につながる町南部の有明水路に導き、干潮時は自然流下、満潮時はポンプで排水する構想だ。六角川の負担も町の水害も軽減できる。流域が連携して洪水対策に取り組む「流域治水」の一つの方策でもある。

 ▽関係者ショック

 今の水害対策は河川本体への手当が主流になっている。2019年8月の佐賀豪雨を受け、国は六角川水系の治水事業を「河川激甚災害対策特別緊急事業(激特)」に採択し、対応を加速させた。国土交通省武雄河川事務所は(1)河道掘削(2)分水路新設(3)排水能力増強-を、2024年度完了を目指して進めている。

 杵島郡大町町と武雄市の約6キロでは河道掘削が進む。白石町と大町町に入り込んでいる川をショートカットして造る分水路は白石町と協議している。高橋排水機場(武雄市朝日町)のポンプ3機の排水能力増強は、本年度から1機ずつ行う。

 激特ではないが、武雄市東川登町にある採石場のくぼ地を洪水調整池にして被害を軽減する計画もある。1990年の豪雨を想定した場合、被害が半減できる内容だが、完了までに20年程度かかる見通しだ。

 こうした対策が進む中で今回の水害は起きた。河道掘削は既に86%が終了していた。近年頻発する記録的大雨に、六角川が対応できないことを露呈した格好だ。「河道掘削が8割方終わっていて、この被害か」と視察した赤羽氏。関係者のショックは大きい。

 武雄河川事務所の小野朋次副所長は「長年の課題の内水対策が必要なことがしっかり見えた」と痛感している。そのために「流域治水が欠かせない」という。

 ▽「抜本的にやる」

 流域治水はこれまでも行われてきた。一例として大雨が予想される際に、ため池やクリークの水位を下げる方策がある。六角川流域でも数年前から取り組みが始まり、今回も白石町や杵島郡江北町はクリークの水位を下げていた。江北町は「要請より早く対応してくれる地域があるなど、住民の意識も高くなっている」という。今後はダムなどを含め、対象や地域を広げる必要もありそうだ。

 赤羽氏の視察には六角川流域6市町の首長が顔をそろえた。「同じ人が同じような被害に2度遭った。抜本的な治水対策を超短期で」と求めた小松政武雄市長に、赤羽氏は「流域治水を加速させ、抜本的にやる」と応じた。(小野靖久)

佐賀2021大雨
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