防護服を着用し、病棟内で業務に当たる看護師ら=19日、佐賀市嘉瀬町の佐賀県医療センター好生館

 新型コロナウイルスに感染した軽症・無症状者を対象にした自宅療養が佐賀県で始まった。発熱などに不安を覚え、入院基準に満たない症状の人が夜間に救急車を呼ぶケースが出始め、医療機関の負担増につながっている。肺炎などの症状がある中等症患者らを受け入れている佐賀県医療センター好生館(佐賀市)は「治療が必要な患者には必ず入院してもらう。そのためにも自宅療養に協力してほしい」と理解を呼び掛ける。

 県内で広がる感染の「第5波」では、1日当たりの感染者数が過去最多の182人になった後、100人台で高止まりしている。病床使用率も過去最高の水準で推移し、20日は62・4%と初の60%台になった。

 自宅療養に加え、陽性判明後に対応が決まらず、自宅に待機している人が増えている。好生館では1週間ほど前から、軽症者が自宅から夜間に救急搬送されるケースが増え、岩村高志救命救急センター長は「一般のホットライン回線や重症患者への対応が難しくなっている」と明かす。入院を望む本人や家族に帰宅を促す負担もあり、こうした事例が相次ぐことを懸念する。

 背景には感染者の不安がある。病床が逼迫(ひっぱく)している東京都などの都市部では、治療が必要な患者の入院先が見つからず、症状が悪化して死亡するケースが出ている。

 一方、佐賀県は重症者や死亡するケースが少ない状況が続いており、佐藤清治館長は「患者への早期治療ができている。都市部のように治療が必要な人が入院できない状態にはなく、やむなく自宅療養をしているのではない。症状が悪化した人が入院できる環境をつくるための積極的な自宅療養」と説明する。症状が軽くなった入院患者をホテルや自宅に移し、病床の回転率を上げている。

 夜間に発熱した場合は、自身で電話ができるような状況であれば、慌てて救急車を呼ばず、市販の解熱剤を飲むことなどを推奨する。「正しく怖がることが重要。翌朝になって医療機関に受診の相談をしても決して遅くない」と話す。

 県は自宅療養者に、健康観察や支援物資の配達を実施している。24時間体制の相談センターの設置など、療養者の不安の解消に向けた仕組みづくりが課題になってくるとみられる。(円田浩二)

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