浸水被害を受け、閉店を決めた「かま蔵うどん」(右)と既に看板を取り外し閉店の見通しとなっているドラッグストアー「コスモス武雄北方店=武雄市北方町志久

 記録的大雨で深刻な浸水被害に見舞われた武雄市北方町志久の「かま蔵うどん」が店を畳むことになった。カレーうどんなど、ふんわりもちもちの麺(めん)にファンも多かった名店。親子孫3代で42年続く店を、わずか2年の間に起きた2度の水禍が閉店に追い込んだ。店がある国道34号沿いでは他にも閉じる店があり、関係者は「さびしい」「通りの活気がなくなりそう」と心配する。

 かま蔵うどんは、2019年8月の佐賀豪雨で店が1・5メートルの水に埋もれた。店内を大幅に改装して3カ月後に再開した。今回は2年前を30センチ上回る水が襲い、店は再びめちゃくちゃになった。1990年の豪雨を含め、大きな浸水被害は3度目だ。

 「今度被害に遭ったらやめざるを得ないと思ってきた。もう借金はできない」と店主の高山京(みやこ)さん(61)。借金を残さず閉店できるよう、保険を改修の借入金が精算できる内容に見直していたが、「2年でこんなことになるとは…」と悔しがる。

 「いつ水害がくるか分からない店を継がせられない」と京さんが言う長男の健一郎さん(32)は「2年前は何とか修理できた麺打ち機がもう駄目。あの麺が作れない」と、味の再現が難しいことも理由に挙げる。1979年に店を始めた祖父橋口幸昌さん(86)も閉店を承諾した。

 18日夜、会員制交流サイト「フェイスブック」で3度の浸水被害にコロナ禍も加わったことを伝え、「なんとか復旧を試みましたが、これ以上耐えられない状態です」と店を閉じることを伝えた。閉店を惜しむ書き込みが続いている。

 かま蔵うどんの西隣のドラッグストア「コスモス」も閉店の見通しだ。2年前は浸水から数日で再開したが、今回は既に看板を取り外し、店内に商品はない。コスモス薬品本社(福岡市)は「確定ではないが閉店の見込み」としている。浸水した地区では他にも飲食店の閉店や事務所移転の話がある。「再開を目指すが、どんな対策が施せるのか」と頭を悩ます店も多い。

 近くでカラオケ店を経営する森本敦(つとむ)さんは前回よりひどい被害を受けた店を片付けながら、「近年、周辺に住宅もできてお客さんも増えていたが、この事態。閉店や移転、移住が増えると町に元気がなくなってしまう。私たちができることには限界がある。行政は何らかの対応が必要では」と訴えた。(小野靖久)

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