大雨で土砂が流れ込んだ影響で、水位が上がった砥石川ため池からポンプで水を抜く関係者=18日午後4時4分、杵島郡大町町

 11日から降り続いた記録的大雨で地盤が緩み、土砂災害への警戒が高まる中、杵島郡大町町神山地区の砥石川ため池東側で18日、地滑りが確認され、土砂がため池に流れ込む恐れが出たため、周辺の676世帯1075人に避難指示が出された。指示は昼すぎに突然出された格好となり、避難所を目指す車で付近は一時騒然となった。

 ため池は小中一貫校大町ひじり学園から約600メートル北側にあり、周囲には住宅が立ち並ぶ。ため池を見下ろす位置に家がある深町斉さん(78)、洋子さん(71)夫妻は16日ごろ、木が少しずつ沈む“山の異変”に気づいた。18日朝、山に空洞ができているのを発見し、知り合いを通じて町役場に連絡。土が崩れる音などは聞こえなかったが、「38年ここで暮らしてきて初めて見た光景。ここ数日の異常な雨の降り方が影響したのか」と不安げな表情を見せた。

 避難指示の発令を受け、住民たちは車で続々と山を下りた。避難所の大町町公民館には避難者が一斉に集まったが、コロナ対策で人数制限をかけているため、すぐに定員に達し、あふれた人は車中待機することに。原千広さん(68)、美代子さん(67)夫妻は軽自動車で2時間半待たされた。「避難所に入れることになってほっとした。ただ、避難が長引かないか心配」と話した。

 家族5人で臨時の避難所に来た川﨑亮さん(42)は「家には子どもだけだったので、佐賀市の会社から慌てて帰った」と振り返る。電話に出なかったので心配したが、近くの人と一緒に避難したことが分かった。「家に戻って大事な物を持ち出そうとしたがパニクってしまった。水害に縁のない場所と思っていたが、長雨がこんな形で影響するとは」と語った。

 ため池には国土交通省九州地方整備局のポンプ車が到着し、水を別のため池に移す作業を続けた。(澤登滋、青木宏文、小野靖久)