浸水で孤立した町民をゴムボートで救助する杵島郡大町町の消防団員=大町町福母の国道34号(大町町提供)

 数日にわたる断続的な雨に豪雨が加わった14日、2019年8月の佐賀豪雨で深刻な浸水被害を受けた武雄市や杵島郡大町町が、再び広範囲な浸水に見舞われた。幹線道路は寸断され、孤立した住居にはボートの救出が続いた。生活再建への歩みを続ける地域を襲った無情の雨。「一体どうすればいいのか…」。途方に暮れた住民たちから嘆きが漏れた。

 武雄市は橘町や朝日町、北方町などで広範囲に冠水。道路は各地で通行止めになり、床上浸水して孤立し、救助される人も相次いだ。豪雨の時は何度か自宅が浸水したという男性(60)は「平成2(1990)年、2年前の佐賀豪雨もひどかったが、今回はそれ以上」と話した。

 午前0時ごろから浸水し、8時すぎには2階に迫ってきた。消防に救助要請したが、高齢者やけが人優先と言われて地元消防団に頼み、ボートで家を出た。「浸水に慣れ準備もしていたが、これほど怖さを感じたのは初めて。びびった」と振り返った。

 佐賀豪雨で甚大な被害を受け、飲食店などが長期間の休店を強いられた北方町の国道34号沿いも再び浸水。店に行けず不安を募らせる店主も多かった。

 居酒屋「NUF NUF(ナフナフ)」を経営する古賀学さん(47)は「とにかくどれぐらいつかっているのか。早く行きたいがどうにもできない。SNSで店の近くの写真を見たが、2年前よりひどい感じ。何でこんなに降るのか」と空模様をうらんだ。

 別の飲食店主は「店に行けず知人から情報をもらっているが、1メートル50センチつかった2年前以上のよう。これ以上の借金はできんから店はもうしきらん。閉じる。浸水の保険金で借金払って終わり」と声を落とした。

 2年前は浸水と鉄工所からの油流出被害もあった大町町の中島地区と下潟地区でも救助活動が続いた。

 佐賀豪雨で一時孤立状態になった順天堂病院も周辺が再び冠水、1階が床上浸水になった。職員や患者らは上の階に避難し無事という。

 中島地区の鵜池弘文区長は「午前2時ごろから水が入り3時間ほどで床上まできた。ボートで助け出された人も多かった。JR佐世保線や国道34号も冠水し、国道は川だった」と状況を説明した。

 佐賀豪雨を機に町内消防団に配備されたゴムボートが活躍し、前日には車の避難を呼び掛けて車の被害を抑えることはできた。教訓は生きたが、鵜池区長は「水害からやっとリフォームした家がつかった人も多い。1メートルほどかさ上げして建て直した家でもつかった。一体どうすればいいのか」と嘆いた。(小野靖久)

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