住民の要請を受け、ボートで救助に向かう消防団員=午後1時ごろ、嬉野市塩田町馬場下

浸水した家からゴムボートで救助される住民=武雄市朝日町甘久

 大雨の影響で一面が水に漬かった佐賀県武雄市=14日午後5時25分

冠水した国道34号=14日午後1時半ごろ、小城市牛津町上砥川

 九州北部に停滞している前線に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、佐賀県内は14日、断続的に非常に激しい雨が降り、16市町に「大雨特別警報」が発表された。降り始め(11日午前6時)から14日午後6時までの総雨量は嬉野で1022ミリとなり、8月1カ月の平年値の約3・7倍に上った。2019年8月の佐賀豪雨で浸水した武雄市や杵島郡大町町を中心に、県内の広い範囲で浸水被害が出た。

 山口祥義知事は陸上自衛隊久留米駐屯地指令に対し、同日午前10時45分に武雄市、正午に大町町への災害派遣を要請。陸自約150人と海上自衛隊佐世保基地の約10人が災害救助などに当たった。県の消防防災ヘリコプターも出動し、武雄市橘町で住民2人を救助するなどした。

 佐賀地方気象台によると、嬉野では午前1時50分までに、8月の観測史上最大となる1時間80・5ミリの猛烈な雨を記録し、大町67ミリ、鳥栖57・5ミリだった。同日午前5時までに、線状降水帯の発生を確認した際に速報する「顕著な大雨に関する気象情報」が県内で初めて発表された。

 大雨特別警報を受け、県は災害対策本部会議を開いた。午後3時現在で鳥栖市と嬉野市で床上浸水3件、鹿島市などで床下浸水24件だった。嬉野市では土砂崩れによる家屋損壊が20件確認された。神埼市などでは260戸が停電した。

 武雄市若木町で幅10メートルの崖崩れが発生し、家屋が一部損傷した。道路9カ所で土砂災害が発生し、佐賀市や三養基郡みやき町など43カ所で冠水による道路の通行規制を行った。河川は16カ所で護岸崩壊が起きた。14河川で氾濫危険水位を超え、六角川(武雄市)では氾濫も発生した。県によると、佐賀豪雨で甚大な油流出が発生した大町町の佐賀鉄工所大町工場からは油漏れは起きていないという。

 嬉野市や大町町など14市町は約33万8千人を対象に、大雨・洪水警戒レベル(5段階)で最も危険度が高い場合の避難情報「緊急安全確保」が発令され、唐津市など8市町約45万人に警戒レベル4の「避難指示」が出された。午後3時現在、20市町の941世帯1900人が避難している。五つの消防本部によると、14日午後5時時点で、大雨によるけが人は2人だった。

 長崎自動車道や西九州自動車道などの高速道は県内全域で終日通行止めだった。JR九州の各路線や松浦鉄道は始発から終日運転を見合わせ、15日も始発から運転を見合わせる。西鉄高速バスは福岡-佐賀間と福岡空港-佐賀間で終日運休した。全日空(ANA)は、14日午後6時以降に佐賀空港を発着する羽田便3便を欠航し、15日午前6時45分に佐賀空港を出発する1便の欠航も決めた。

 同気象台によると、15日も大気の状態が不安定で、朝にかけて局地的に雷を伴った非常に激しい雨が降り、多いところで1時間60ミリ、同日午後6時までの24時間に200ミリを見込む。昼前から曇りとなるが、土砂災害などへの厳重な警戒を呼び掛けている。(取材班)

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