入口を塞いでいた土嚢も波で押し流され、途方に暮れながら作業する居酒屋の従業員=13日午後4時35分ごろ、佐賀市本庄町の居酒屋ゆるり

 突然鳴り響くスマートフォンの緊急情報、道路の冠水で迂回うかいする車―。佐賀県内で降り続く雨は13日、前日よりさらに雨脚が強まり、多くの川が氾濫危険水位を超えた。「早く収まって」。県内各地の住民は、避難所に向かったり土のうを準備したりしながら、長引く大雨に不安を募らせた。

 「避難した方がいいのかどうか…」。佐賀市内を流れる佐賀江川近くの女性(24)は転居してきたばかりで「土地勘がない」とこぼし「アパートの2階なので、取りあえず夜間は外に出ないようにします」。徐々に水位が上がる川を心配そうに見つめた。

 市内は中心部も冠水し、水没した道路は車が通るたびに波打った。本庄町の居酒屋で、玄関前に土のうを積んでいた従業員の男性は「車が通ると店に水が入ってくる。通行止めにしてくれないかな」。

 県内各地の冠水箇所では、道沿いの事業者らが対応に追われた。未明から通行止めになった鳥栖市真木町の県道17号にあるガソリンスタンドのスタッフ藤井健二さん(71)は「梅雨は無事だったけれど、甘くないね」。雨が落ち着いた正午ごろ、通行止めは一時解除されたものの、その後再び規制された。

 降り続く雨はお盆の休暇と重なった。佐賀市の諸富町公民館に避難した女性(76)は「熊本から孫が来る予定だったけど延期した。せっかくの盆が台無しだけど、コロナの不安もあったから」と、連日の最多更新となった新型コロナウイルスの感染状況も懸念。一定間隔で畳が敷かれた避難所に「ここは大丈夫だと思うけど…」と不安が拭えない様子だった。

 嬉野市塩田町の社会福祉法人済昭園。土砂災害特別警戒区域に指定されている施設の裏山や近くを流れる塩田川の状況を気にしつつ、施設内での入所者避難を進めた。先月作成したばかりの「避難タイムライン」に従い、特別養護老人ホーム1階の入所者は前日のうちに2階へ「垂直避難」。13日は、他の入所者も施設内のより安全な場所へ避難させる準備に当たった。馬場昇施設長は「警戒は続くが、混乱することなく落ち着いて行動したい」と硬い表情で話した。(取材班)