唐津くんちの曳山巡行を、規模を縮小して実施する考えを示した山内啓慈唐津曳山取締会総取締(左)=唐津市の唐津神社社務所

 11月に予定されている唐津神社の秋季例大祭・唐津くんちの曳山(ひきやま)巡行について、唐津曳山取締会は、規模を縮小して2年ぶりの実施へ向け、準備を進める方針を示した。3カ月後の状況を予想することは容易ではなく、新型コロナウイルスの感染状況を見極めながら、9月に最終的な開催可否を判断することを強調している。唐津市を含め佐賀県内も現在、感染が拡大しており、ワクチン接種が進んでいくとしても難しい判断を迫られる。曳き子をはじめとした曳山関係者だけでなく、見物客のコロナ対策をどうするかが大きな課題となる。

 通常の唐津くんちは14台の曳山(やま)が市の中心街を3日間にわたって巡行し、例年は50万人前後の人出となる。昨年はコロナ感染拡大の状況を受け、8月6日の時点で曳山巡行の中止を決めた。1番曳山の赤獅子誕生以来、200年の歴史の中で中止は初めてのことだった。曳き子たちは「やむを得ない」としながらもショックは大きく、市内の観光や関連産業の経済的な打撃も深刻だった。

 「全国区」の博多山笠や長崎くんちが2年連続で開催を見送る中での意思表示は、曳山取締会としての決意とも映る。2年連続の巡行中止は避けたいとして感染防止と両立する方策を探ること自体は否定されるものではない。曳山取締会も従来の祭りを遂行することは厳しいとみている。

 11月3日の御旅所神幸(おたびしょしんこう)での曳山14台の巡行を検討している。唐津神社も神輿みこしの代わりに小さな箱の「唐櫃(からひつ)」でご神体を運び、従来の10分の1の10人で神事を執り行う西の浜に向かう。2日夜の「宵曳山(よいやま)」、4日の街中を巡る「翌日祭」について、曳山取締会の山内啓慈総取締は「難しい」との認識を示しており、開催は「3日」に絞り込まれる可能性が大きい。

 曳き子の人数を1台当たり400~500人規模から、200人規模に削減したり、祭りの特徴でもある「くんち料理」のもてなしは自粛したりする考えを述べている。参加にはさらに、いろんな条件を付けることになるという。

 もう一方の見物客への対策はどうだろうか。唐津市や警察署などと、協議をしていくとしているが、街頭、沿道の密集を避けるためには、相当踏み込んだ対策を取らざるを得ないのではないか。東京オリンピックのマラソン競技の様子を見ても、公道の見物客を制御する難しさは容易に想像できる。大阪府岸和田市で9月に開かれるだんじり祭は「無観客」で観覧自粛を呼び掛ける。唐津で同様の手段に踏み切ることも選択肢に入ってくるだろう。

 曳山取締会の9月総会の日程は未定だが、感染症など専門家の意見を聞きながら、客観的な情報をもとに慎重な議論を経て判断し、丁寧な説明で理解を得ることが求められる。(唐津支社長・辻村圭介)

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