佐賀県内の最低労働賃金を知らせるポスター。本年度の引き上げ額に関し、県内でも議論が進められている=佐賀市の連合佐賀

 佐賀地方最低賃金審議会(会長・富田義典佐賀大名誉教授)は6日、4回目の専門部会を開いた。県内の最低賃金について引き上げ額を議論し、経営者側と労働者側の隔たりが大きく、10日に結論を持ち越した。

 佐賀県内の最低賃金は、時給で792円と大分県や沖縄県などと並び全国で最も低い。厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会は7月、本年度の改定について全国一律で28円引き上げるよう求める目安を答申している。

 関係者によると、労働者側が28円よりも上積みを求めているのに対し、経営者側は新型コロナの感染拡大による経営への影響が改善していないとして現行水準の維持を主張。労使それぞれの意見聴取にとどまり、学識経験者ら公益代表委員からは妥結に向けた具体的な提案はなかったという。

 専門部会では10日をめどに報告をまとめ、同日に審議会から佐賀労働局長へ答申する見込み。(大橋諒)

 

■全国最下位にらみ「せめぎ合い」

 佐賀県の最低賃金引き上げに関する議論は6日の決着が見込まれていたが、10日に持ち越しとなった。新型コロナの「第5波」が広がりを見せる中、現行水準維持を求める経営者側に対し、労働者側は過去最大の上げ幅を求めており、落としどころが見通せない。他県の状況もにらみながらのせめぎ合いが続いている。

 県内の経済4団体は4日、現行水準の維持を求める異例の要請を審議会に行った。県中小企業団体中央会の江島秋人専務理事は「昨年はコロナ禍を踏まえ雇用や事業所を守るため目安が示されなかった。状況は変わっていない」と話す。

 全国一律の目安である時給で28円の引き上げは、1カ月換算では約5千円。江島氏は「常時雇用では負担が大きい。今回の目安は地域の実情とかけ離れており、多くの経営者の心が折れ、雇用に深刻な影響が出る懸念がある」と強調する。

 一方の労働者側。県内最大の労働団体「連合佐賀」の草場義樹事務局長は「福岡との格差是正を早期に目指すための足がかりにしたい」と過去最大の上げ幅となった目安を歓迎する。

 「県内でも人手不足が続く中、隣県への人材流出に歯止めを掛けるためには賃上げが欠かせない」と主張。連合佐賀では県内の最低限の生活に必要な賃金水準を920円と算出、さらなる上積みを求める考えだ。

 労使の主張が平行線をたどる中、鍵を握るのが他県の動向だ。佐賀県は他の6県と並び最低賃金がワーストで、ある関係者は「単独最下位になりたくないのは共通の思い」と明かす。

 九州では同じく最低水準の熊本県が28円引き上げの答申で最低賃金が821円になる見込みで、熊本と並ぶには29円の引き上げが必要。「目安に2円以上積んで最下位を脱するか、プラス1円で横並びとなるか」と別の関係者。ぎりぎりまで調整が続く。(大橋諒)

このエントリーをはてなブックマークに追加