多久市の近現代を特集した「丹邱の里」の新刊

横尾俊彦市長(左)に「丹邱の里」の新刊を贈った市郷土研究会の尾形善次郎会長(中央)と桑原峰俊副会長=多久市役所

多久市郷土研究会が発行した18冊目の会誌「丹邱の里」

 多久市郷土研究会(尾形善次郎会長、27人)は、会誌「丹邱(たんきゅう)の里」の新刊を発行した。18冊目の今作は明治維新以降の多久市の近現代を特集し、政治や産業、教育・科学の分野で近代化を支えた市出身者11人を紹介。社会の変遷を映す出来事や炭鉱労働者の家族の寄稿も掲載するなど丹念に歴史を記録している。

 「多久の群像」と題した人物編では、佐賀藩多久領の11代領主で、後に権令として県庁を佐賀に移した多久茂族(しげつぐ)や、炭鉱業の家庭に生まれ、多久銀行頭取になった中島茂を取り上げた。人材の育成に尽くした教育者にも焦点を当て、多久領の学問所の副教授で遊学中に立命館大創始者の中川小十郎に漢字を教えた田上綽俊(しゃくしゅん)らも紹介している。

 佐賀県内で有数の採掘量を誇った石炭産業については、秋田大の元准教授が炭鉱労働者の息子として多久で過ごした小学生時代までの思い出を記した文章を掲載した。移住してきた人が多い中、盆踊りや餅つき、海水浴などで住民同士の交流が行われていた記憶をたどり、高学年になると「戦後の復興を支えた炭鉱作業員のせがれというアイデンティティーを自覚した」と振り返っている。

 新刊は3年ぶりで、B5判136ページ。文章を補足する写真も多く掲載し、市教育委員会などに寄贈した。尾形会長は「今日の基盤がどのように醸成されてきたのかを振り返ることで、新型コロナウイルス禍の現代に一つでも多くの示唆を残すことができればうれしい」と話す。

 価格は1600円。多久市の中央公民館や郷土資料館、物産館「朋来庵(ほうらいあん)」で購入できる。(谷口大輔)

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