唐津市の西の浜と東の浜で打ち上がった「第69回九州花火大会」。ほど近い松浦川に架かる松浦橋からは両方の花火が見ることができ、西にはライトアップされた唐津城も。橋の上を歩く人たちは足を止め、夏の風物詩を目に焼き付けた。
 松浦橋の歴史は古い。最初に橋が架けられたのは1896(明治29)年。尽力したのは、唐津出身の社会活動家で「愛国婦人会」を創設した奥村五百子(いおこ)(1845~1907年)だった。奥村は市民の生活向上のため、橋建設に加え、松浦鉄道を誘致するなど、唐津の交通の発展に寄与した。

写真を拡大 唐津市東町と東唐津を結ぶ松浦橋(写真中央)。夜には橋の街灯や市街地の明かりがあたりを彩る。17日には九州花火大会が開催された=唐津市(高度約150メートルからドローン空撮)


 当時は松浦橋はもちろん、下流の河口近くに架かる舞鶴橋もなく、松浦川を渡るには船を使うしかなかった。これを改善しようと考えた奥村は国に直接掛け合う。橋建設に必要な官有林を確保するため、当時の大臣と相撲の勝負を挑もうとしたという逸話もある。
 1939(昭和14)年、木造だった松浦橋がコンクリート造りに生まれ変わる。全長496メートル。竣工しゅんこう式を伝える当時の佐賀新聞の記事では「九州一の長橋」との見出しが躍る。95年には改装工事が行われ、歩道を拡幅、高欄や照明は海や松原をイメージしたデザインへと変わり、〝3代目〟として現在まで愛されている。
 松浦橋などが整備されたことで、唐津くんちの曳山やま14台が並ぶ曳山ひきやま展示場など唐津市中心部の観光名所へのアクセス向上にも貢献した。朝夕は通勤のため車やトラックの往来が激しく、歩道はジョギングやウオーキングをする市民が行き交う。周辺には複数の観光ホテルや国の特別名勝に指定されている虹の松原がある。唐津観光協会の山根路子事務局長(54)は「市民にとっても観光客にとっても主要な橋の一つ」と話す。
 現在は新型コロナウイルスの影響で激減したが、コロナ以前の唐津市にはクルーズ船などで外国人観光客が多く訪れた。「外国人は自然の多い景観を見たり歩いたりするのが好きみたい」と山根事務局長。松浦橋は人気コースの一つで、3月には松浦川河口沿いの遊歩道が整備され、松浦橋を含む1周約3キロの「水辺の回廊ゾーン」が完成した。山根事務局長は、唐津の生活と観光を支えるインフラとしての重要性がさらに増したと強調する。
 スケートアニメ「ユーリ!!! on ICE」の舞台となっている唐津市。舞鶴橋は主人公のランニングコースとしてファンの間で聖地となっており、舞鶴橋と唐津城を両方写真に収めるため、松浦橋でシャッターを切るファンも多いという。
 (文・中村健人、写真・山田宏一郎=佐賀新聞社)
 ※次回は8月9日の掲載です。

 

■グルメ観光スポット 唐津城 =唐津市東城内=

地図

 新有明漁港から北東に約5キロ、車で10分余りの場所にある道の駅「しろいし」。米やタマネギ、レンコン、アスパラガス、トマト、イチゴなど豊富な農作物で知られる白石町の物産が並ぶ。

 2年前にできた鉄骨2階建ての〝駅〟の1階には物産販売スペースとうどんやソフトクリームなどの軽食コーナー、2階には展望テラスのある食堂がある。

 300を超える契約農家が持ち込む朝採り野菜は鮮度抜群。今の時期は鮮度と甘さが比例するスイートコーンを求めて早朝から列ができる。タマネギスナックやせんべい、乾燥レンコンのパウダーや輪切りなどのご当地食品も並んでいる。
 2階の食堂にはレンコンのみじん切りが入ったハンバーグや町産トマトを使ったパスタ、1階のうどんのトッピングにはタマネギのかき揚げ、レンコンスライス、有明海苔のりと、白石が味わえるメニューが並ぶ。

このエントリーをはてなブックマークに追加