新型コロナウイルスの感染者に電話で聞き取りをする職員たち。再び業務量が増えてきている=7月30日午後5時半ごろ、佐賀市の佐賀中部保健福祉事務所

 佐賀県内で新型コロナウイルスの感染者が再び増え始めている。都市圏の増加と呼応するように7月下旬から2桁台の確認が続き、感染力が強い変異株「デルタ株」への置き換わりが急速に進んでいる。5月上旬がピークだった「第4波」では、防疫業務などを担う県内5カ所の保健福祉事務所は多忙を極め、職員の残業も常態化した。それだけに関係者は「第5波」への警戒を一段と強めている。

 「佐賀に『第5波』はもう来ている」。佐賀中部保健福祉事務所の大坪玲子副所長は厳しい見方を示す。県内では7月27日、59日ぶりに2桁台の14人の感染が確認されて以降、10~20人台で推移している。高齢者はワクチン接種が進み、感染者全体に占める割合が低くなる一方で、若年層の感染が目立ってきている。

 ▽県庁にも応援依頼

 4~5月の第4波は県内最大の感染の波だった。「事務所の人員で対応できる範囲をはるかに上回っていた。100メートルダッシュをマラソンの距離でやっているような感覚だった」。佐賀中部保健福祉事務所の中里栄介保健所長はこう振り返る。職員約70人が本来業務に加えてコロナ対応に当たり、局面に応じて負担が集中する部署を支えた。

 「積極的疫学調査」は、感染症対策担当の職員10人とサポート班が担う。感染者1人につき1時間ほど話を聞き、行動歴や接触者といった情報を1枚の用紙にまとめ、ホワイトボードに張り出していった。大型連休中に感染者が急増、張るスペースはすぐに不足し、要点だけを書き込む一覧表に切り替えた。

 ピーク時は管内の1日当たりの感染者数が25、26人のときもあった。感染症対策担当の池上幸江係長は「やってもやっても終わらないような状況だった」。医療機関から感染者の発生届が断続的に届いた。人手が足りず、県庁などの保健師に応援を頼むこともあり、業務は深夜まで続いた。

 高齢者施設ではクラスター(感染者集団)の発生が相次ぎ、入所者ら数十人規模の検査が必要になった。事務所で唯一の医師である中里保健所長が向かい、防護服を着て1人ずつ鼻の奥に綿棒を入れて粘液を採取した。「陰性だった人が後で発症し、同じ施設に3回行くこともあった。1件のクラスターでも大変だが、それが同時に起きていた」。業務に追われるあまり、帰宅後も仕事の夢を見た。

 ▽過労死ライン超え

 県内では、1カ月当たりの時間外勤務が平均で50時間を超えた事務所もあった。単月での過労死ライン「100時間」を超えた職員も県内5事務所で4月に6人、5月は16人に上った。県人事課は4月から会計年度任用職員を5事務所で14人増やす計画だったが、6月以降はさらに増員している。

 外出の機会が増える夏休みは始まり、帰省を伴うお盆も控え、感染拡大のリスクは高まる。佐賀中部の大坪副所長は「今後の状況は一人一人の行動に掛かっている。3密の回避など対策をしっかりと取ってほしい」と話す。(円田浩二)

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