武雄市のふるさと納税の流れ

 武雄市のふるさと納税の返礼品の発送が遅延している問題では、市民や関係者から疑問や批判の声が漏れている。「過去に問題を引き起こした業者がなぜ再び登場したのか」「返礼品は届けられるのか」「責任の所在はどこに」-。返礼品調達に追われている市には、説明も求められている。

 ■破格の返礼品

 「1万円の寄付でさがびより(米)15キロというのは破格。これを寄付が集中する12月に示したら、寄付の殺到は予測できたはず」。ある自治体のふるさと納税担当者は、発送が遅れている返礼品の内容に驚いた。そして「量の面でも価格の面でも今から調達できるのか」と心配した。

 返礼品は2019年度から「寄付額の3割以下の地場産品」に厳格化された。納入業者はさがびより15キロを3千円以下で調達しなければならなかった。市に対して発送遅れの理由を「人手が足りない」「精米や肉の加工に時間がかかる」と説明したというが、全量は調達できていない。

 市はこの業者に代わって調達できる業者を探しているが、180トン近い量の確保、納期、価格という問題から難航している。寄付者からの問い合わせに対し、寄付を返還する方法も説明しているが、寄付者自身が修正申告する必要があり、現実的ではない。

 市は30日の市議会全員協議会で「肉は確保できそうだが、米は難しい」と説明。謝罪して量を減らすことや今年の新米で対応することにも言及したが、議員からは「詐欺と言われる」などと反発が相次いだ。

 ■問題業者なぜ“復活”

 一方、市民からは「過去に遅延した業者がまたトラブル。なぜこの業者がかかわっているのか」という疑問や批判が上がっている。

 問題の納入業者は、市からふるさと納税業務を受託していた19年4月、約300件の発送遅延を引き起こした。同年5月に市から業務委託契約を解除されたが、その2カ月後には、返礼品納入業者として“復活”している。市はこの件について「前回の遅延はすぐに解消している」とし、納入業者になった点に関しては「税金の滞納がなく、代表者が暴力団構成員でないことなどの審査基準を満たしており疑義はなかった」と会見などで釈明した。

 ■責任の所在

 発送遅延の発覚以降、市は業務委託会社とともに対応に追われている。返礼品調達などに新たな費用が生じることも懸念されている。信用失墜や金銭面を含めた責任の所在、再発防止策も課題になる。

 業務委託会社には委託費として寄付額の8・8%が翌月に支払われる契約になっている。発送が遅れている分も既に支払われており、未発送分だけを概算しても2千万円を超える。

 市は「業務委託契約には返礼品の購入と発送も含まれる。発送が完了しなければ、業務不履行として委託料返還も想定される」と説明していたが、30日の全員協議会では、業務委託会社との契約を解除する方針を示した。既に返礼品の納入を遅延させた業者が関与することを停止しているが、2業者にどう責任を取らせる考えなのかは明確ではない。(澤登滋、小野靖久)

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