新型コロナウイルス禍で史上初の1年延期となった東京五輪は、21日の事前競技開始から数えると、早くも全日程の前半戦をほぼ終えた。自国開催の追い風もあり、日本は予想を上回るメダルラッシュで、佐賀県勢の活躍にも元気をもらっている。感染が再拡大し、五輪開催を手放しで喜べる状況ではないが、努力を積み重ねてきた選手たちに敬意を表したい。

 2021年7月27日は忘れられない日になりそうである。ソフトボールの日本代表が米国と決勝で激突。エースの上野由岐子投手(39)、ともに佐賀女子高出身の藤田倭(やまと)選手(30)、内藤実穂(みのり)選手(27)らが躍動し、最大のライバルを破って頂点に立った。県勢の金メダルといえば、3月に53歳で亡くなった柔道家・古賀稔彦さんのバルセロナ五輪(1992年)の印象が強く残るが、それに匹敵するような大きな感動をもらった。競技が始まってからは感動の連続で、テレビの生中継にくぎ付けになっているという人も多いことだろう。

 今回の五輪では、佐賀新聞社の記者1人も毎日取材で飛び回っている。過去最多となる11競技14人の県勢が出場しており、地域の報道機関としてその活躍ぶりを連日伝えられること自体、幸せなことである。選手たちの努力には本当に頭が下がる。上位進出こそならなかったが、38歳で再び大舞台に挑んだラグビー7人制男子の副島亀里ララボウラティアナラ選手(佐賀市)、17歳で初陣となった柳本幸之介選手(伊万里市出身)の奮闘にも心が震えた。

 新型コロナの感染拡大防止のため、ほとんどの競技が無観客開催となっており、試合の中継に注目していると、選手たちの気迫のこもった声がはっきりと耳に飛び込んでくる。ソフトボールと同じく、大きな感動をもらったのは卓球混合ダブルスの水谷隼(じゅん)選手(32)と伊藤美誠(みま)選手(20)の金獲得だ。宿敵中国ペアとの決勝でシーソーゲームが続く中、平常心を保とうと、ポイントごとに表情を緩めたり、真剣なまなざしに切り替えたりする伊藤選手の姿が、高度な心理戦で少しの緊張がプレーに影響することを感じさせた。

 もちろん、日本勢が躍進しているからといって楽観できるような状況ではない。東京の新型コロナ感染は「第5波」の様相を呈し、ソフトボールの決勝があった27日は2848人の感染確認が発表された。28日以降は3千人を上回り、都民からは不安の声も上がっている。政府は不要不急の外出自粛、テレビでの五輪観戦を呼び掛けているが、若者を中心に自粛疲れとも呼べそうな行動の広がりが見てとれる現状だ。感染を封じ込める対策強化が欠かせない。

 後半戦に向けて県勢最初の注目は、サッカー男子の準々決勝・ニュージーランド戦(31日)に挑むサガン鳥栖の林大地選手(24)。戦うごとに評価が上がっており、ゴールをぜひ決めてほしい。セーリング男子470級に挑む唐津西高出身の岡田奎樹選手(25)と、外薗潤平選手(30)のペアや、自転車女子ケイリンに出場する鳥栖市出身の小林優香選手(27)にはメダルの期待が高まる。佐賀新聞社はコロナ感染の重大さを認識しつつ、県勢の活躍を全力で伝えていく。(杉原孝幸)

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