大町・未来計画編

 自分たちが暮らす地域の現状や課題を学び、将来こうなってほしいという未来計画を描く「さが未来発見塾」。4期目となる大町町では、町内在住の中学1、2年生の計10人が参加しました。後編の今回は、未来計画を完成させたワークショップと、水川一哉町長へのプレゼンテーションの様子を紹介します。

<前回までの流れ>

 塾生10人は第1回ワークショップで、人口減少や少子高齢化、自然災害への対応など大町町の課題を学びました。また、大町の魅力も考え、暮らしの実感として「静かな環境」「住みやすさ」などを挙げました。
 学びを深めるための取材は、地域活性化を目的としたイベントなども手掛ける大町自動車学校代表取締役の鶴田英司さんに話を聞き、未来計画を描くヒントを探りました。
 2回目のワークショップに向け、塾生たちは未来計画のテーマとして「イベントを通してふれあえる町」「笑顔あふれる町」「活気あふれる町」を挙げ、おおまかな方向性を確認しました。

 

ワークショップ

イベント案など活発に論議

ワークショップでアイデアを出し合う生徒たち=大町町役場

 第2回ワークショップは6月2日、大町町役場で開き、これまでの取材などを通してイメージした町の将来像を実現するためのさまざまなアイデアを出し合いました。

 前回の講座で確認した将来像「イベントを通してふれあいを増やし、笑顔と活気があふれる町」を念頭に、活発に意見交換しました。塾生たちは町の名物グルメ・たろめんにちなんだ「たろめん流し」など幅広い年代が楽しめる企画を提案。1987年から20年続いた名物イベント「かごかき競争」の復活について、「せっかくなので、町の課題である防災と組み合わせたものにしよう」と新たな視点を加えました。

 「町全体でユニバーサルデザインを進めることでみんなの笑顔につながっていく」「いろんな人が暮らしやすく、町にも明かりや色があふれる『カラフルな町』になれば活気も出てくる」などまちづくりに関する意見も出ました。

 6月12日には、総まとめのワークショップを実施。将来像を実現するための策を盛り込んだ「未来計画」を確認し、タイトルを「おおまちスマイルプラン~大町の未来にヒカリを」としました。

 

プレゼンテーション

 

水川一哉町長に「おおまちスマイルプラン」を提案する塾生たち=大町町公民館

 「おおまちスマイルプラン」のプレゼンテーションは6月20日、大町町公民館で行い、水川一哉町長に提案しました。

 塾生10人はプレゼンテーション用ソフトを使って、自分たちが練り上げた計画を説明しました。ワークショップで学んだ課題として、杵島炭鉱閉山後から人口減少が続いていることを挙げた上で、「人口が少ない分、人と人とのつながりが強く、コンパクトな町だからこそ全体が見渡せる」というメリットを強調。今ある魅力を生かしていくプランを発表しました。

 水川町長は「皆さんの思いが伝わる、すばらしいプレゼンでした」と感想を述べ、「実現に向けて、今後も話し合っていきたい」と話しました。

提案書おおまちスマイルプラン ~大町の未来にヒカリを~

【大町の現状】
 佐賀県のほぼ中央に位置する大町町は、県内の市町で最も小さいコンパクトな町だ。炭鉱で栄えた輝かしい歴史を持つが、近年は人口減少が顕著で、高齢化も進んでいる。
 町民同士の関係が深く、町全体に目が行き届くメリットがある一方、活気やにぎわいをどう生み出すかが課題になっている。2年前に大町を襲った「佐賀豪雨」の経験を踏まえ、災害に強いまちづくりをどう進めるかも大きなテーマだ。
 若者からは不便と言われる立地も、見方を変えれば武雄市や佐賀市に近く便利だと言える。大町の魅力を見つめ直し、すでにあるものを生かしながら、中学生ならではのアイデアでふれあいと笑顔、活気を生み出したい。そんな願いを込めて未来計画を考えた。

【目指すまちの姿】
イベントを通してふれあえる町  笑顔あふれる町  活気あふれる町

【実現に向けてのプラン】
プラン① イベントでふれあいを
かごかき競争やたろめんなど、大町ならではのコンテンツを活用したイベントでまちにふれあいを生み出す。アートをテーマにした催しでまちを明るくし、若い世代が交流できる場もつくる。

プラン② 笑顔でつくる多様性
トイレをカラフルにしたりして色彩を豊かにし、さらにユニバーサルデザインのまちづくりを進めることで笑顔を増やす。すべての人に開かれた多様性のあるまちを目指す。

プラン③ 活気を生み出す
イベントなどで生まれたふれあいや笑顔を活気につなげるために、大規模なスポーツ大会を開く。

プラン④ 挑戦の町へ
若者が夢を語り、大人がその夢を応援してくれるまちにするために、町長に直接思いをぶつける場などをつくる。

プラン⑤ 安心安全な町へ
佐賀豪雨の教訓を生かし、町民の命を守るために、災害に強いまちづくりをこれまで以上に推進する。

 

水川一哉町長の講評

町の計画とかみ合ったアイデア

 皆さんの思いが伝わる、すばらしいプレゼンでした。大町町の課題を自分ごととして考えてもらい、思いを共有できたということに感謝しています。

 大町町はかつて炭鉱の町として栄え、昭和44年に閉山になった後は、人口が減り続けています。現在は6300人程度になりましたが、人口密度では佐賀県内20市町のうちで4番目に高い自治体です。小さな町ですが、そこでたくさんの人々が楽しく暮らしています。それに、佐賀県のど真ん中にあり、県内のどこにでも短時間で行けるという特徴もあります。

 皆さんの提案はそうした大町町の長所も理解してくれた上で、「将来元気な町にしていきたい」という思いが伝わってきました。

 災害に強い町にという提案は、町も最重要課題と捉えていて、救命ボートの配備や防災ラジオの各家庭配布などを進めてきました。佐賀豪雨クラスの大雨でもポンプ場が水没しないような対策も講じています。水害をきっかけに日本レスキュー協会との進出協定を結び、災害救助犬やセラピー犬の育成・派遣施設を開設する計画も進んでいます。

 「カラフルな町」という提案も興味深く聞きました。町は情報プラザを改修する計画があり、そのような視点も計画に盛り込んでいければいいなという思いがあります。

 皆さんのやりたいことと、これから大町町がやろうとしていることが、ちょうどかみ合っているなと感じました。

 皆さんも提案したからには一つでも二つでも実現してほしいという思いがあるでしょう。私も実現できるように努力したいと考えています。今後もこのような機会をつくり、話をしていきましょう。

 

塾生の感想

山中 翔輝 さん(大町ひじり学園8年)
 初めはただ楽しそうだなと思って、参加しましたが、町の歴史などをよく知ることができて、たくさん学ぶことがありました。とても楽しくて貴重な体験になりました。

松永 小春 さん(大町ひじり学園8年)
 積極的に発言できませんでしたが、大町について自分なりに考えるきっかけになりました。普段できないような体験を通して、今まで知らなかった大町の良さや課題を知ることができて良かったと思います。

竹内 叶空 さん(大町ひじり学園7年)
 大町のすてきなことをたくさん見つけられました。未来の大町は明るくて楽しい町になってほしいです。そして、大町の人口をたくさん増やして、楽しい町にしたいです。

横尾 治那津 さん(大町ひじり学園7年)
 大町がもっとこうなってほしいという意見をみんなで出し合い、とても勉強になりました。ここで学んだことを、大町がもっと住みやすい町になるよう、未来に生かしていきたいです。

水本 勘太 さん(大町ひじり学園7年)
 さが未来発見塾で学び、大町のいいところも改善すべきところも詳しく知ることができました。これからも大町の未来をみんなで考え、活気のある大町町にしたいと思います。

深江 唯姫 さん(大町ひじり学園7年)
 大町のことがいろいろと分かりました。私が知らないイベントがあったり、大町を盛り上げようと大勢の人が取り組んでおられることを知りました。これからは私も大町を盛り上げていきたいと思います。

橋本 友姫 さん(大町ひじり学園8年)
 さが未来発見塾に参加して、大町のことを詳しく知ることができました。ワークショップの中で、積極的に自分の意見を言えるようになりました。今後もこの経験を生かしていきたいと思います。

山下 さきほ さん(大町ひじり学園8年)
 今まで何となく過ごしていた自分の町の魅力にあらためて気づきました。中学生ならではの柔らかい発想で考えたプランを伝えることができ、町がもっと活気と笑顔にあふれるよりよい町になることを期待したいです。

大串 凜花 さん(大町ひじり学園7年)
 自分一人では絶対に出せない意見やアイデアも、この10人の仲間だったからこそ出せたと思います。これからもこの経験を生かして、仲間と協力することを大切にしたいです。

牛島 なつみ さん(武雄青陵中1年)
 テーマに沿って大町の未来についてみんなと考える場ができて良かったと思いました。取材などを通して、大町の良さも確認できました。これから先もコロナなんかに負けない、明るい元気な町になってほしいです。

 

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