〈教育の根底にあるのは、あこがれの伝染である〉。教育にまつわる名言はいろいろあるが、齋藤孝・明治大学教授の著書で見つけた好きな言葉の一つである。「あんな人になりたい」。その気持ちが向上心を生み、人を成長させる◆あこがれは初めの一歩を踏み出すきっかけになり、継続の力にもなる。伝染させる人、伝染して頑張る人、その波紋が広がって人材は育っていく。伝統校、強豪校と呼ばれるチームの強みは身近にあこがれの存在がいて、それが連綿とつながっていることではないかと思う◆東京五輪ソフトボールで、日本は決勝で米国を破り、金メダルをつかんだ。テレビ画面を通しても伝わってくる緊迫した空気の中、見事に力を出し切った。2008年の北京五輪で優勝した後、五輪競技から外れたため、13年間の思いがこもった連覇達成である◆チームの中心として、1次リーグから決勝まで勝利に貢献した藤田倭(やまと)(30)、内藤実穂(みのり)(27)の両選手は佐賀女子高の先輩、後輩である。伝統の強豪校で身近にあこがれを感じながら、「私も」「私だって」とひたむきに打ち込んだ高校生活だったろう◆それを礎にして続けた努力が世界の大舞台で結実した。佐賀から羽ばたいた2人の五輪メダリスト。胸に輝いた金メダルは後に続く世代の希望であり、あこがれの源泉になる。(知)

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