東京五輪で新たな実施競技となったスケートボードのストリートで、男子の堀米雄斗選手に続き、女子の西矢椛(にしや・もみじ)選手が金メダルに輝いた。

 西矢選手は13歳で、銅メダルの中山楓奈(ふうな)選手もティーンエージャーの16歳だ。国際オリンピック委員会(IOC)が近年進める「若者志向」を象徴する存在となった。

 日本勢に限らず、選手は伸び伸びと動き、トリックと呼ばれる技を思い通りに決めては、笑顔を輝かせた。楽しさと、若者らしい喜びのストレートな表現が競技会場にはあふれていた。

 若者にとって身近になったスポーツが五輪で実施され、多くの市民がテレビで観戦し、さらに発展する可能性を広げたことを喜び、歓迎したい。

 日本では2012年度から中学の体育としてダンスが必修になった。ヒップホップダンスが好きな若者が、同じようなリズムを感じて、スケートボードを楽しむようになったケースもあるかもしれない。

 スポーツの部活は今、全国的に先生が授業関連活動に忙しく、指導者の役割を長い時間担うことが難しくなっている。また、主にボランティアが推進する地域の総合型スポーツクラブも、指導者不足という悩みを抱え、その活動は一時の勢いがない。

 そうした状況の中、ローラーを付けた板(ボード)と固い地面があれば、一人でも楽しめるこのスポーツは若者にとっては何より気軽で、格好良くて魅力があるのだろう。

 五輪での採用決定後、スケートボードのパーク(公園)設置が広がってきたという。指導者がいなくても、スマホを片手に映像で各国のプロ選手の演技を勉強できる。

 仲間と新しい技について、またパフォーマンス向上の工夫について楽しく語り合い、汗をかいて競い合う。そこには、身体的な運動を伴う遊びから発展した、ほとんど全ての伝統的な競技に通じる源流のようなものを感じる。

 それでも、スケートボードには張り詰めた空気の中で行われる競技とはひと味違った自由な遊びの趣がある。選手も実際、相手を打ち負かすというより、独創的な技の追求と、自身の伸びやかな心を大切にしているという。従来の競技には見られない感覚であり姿勢だ。

 スケートボードを五輪に組み入れることを決めたIOCに、時流に乗り遅れたくないとの焦りと、したたかな打算があったのは間違いない。

 米スポーツ専門局が主催するスケートボードやスノーボードのシリーズ大会は多くの観客とスポンサーを集めるようになった。IOCは多くの若者の関心がそこに向くのなら、自分たちもそこを開拓しようと、まず冬季五輪でスノーボードを、そして今回、夏季五輪でスケートボードを取り込んだ。

 町の空き地や、小さな広場でもできる3人制のバスケットボールも今大会、実施している。アフリカでもアジアでも、都市の人口が急増する現状に沿った新しい路線が「都市型スポーツ」の採用だと説明される。

 とはいえ、小さな規模でも競技場のインフラを整備する必要はある。経済的に豊かな国がそうでない国よりも、圧倒的に優位になることがないよう、IOCは競技の公平性に注意しながら都市型スポーツの発展を導いてほしい。(共同通信・竹内浩)

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