愛知県瀬戸市で制作活動を続ける小林さん

「ikiiki」(17.5×68センチ、2018年)

「くじらじかん」(105×180センチ、2016年)

「Unparalleled(天荒ヲ破る)」(65.5×65.5センチ、2020年)

「天荒ヲ破る」シリーズ

 自作の詩を揮毫(きごう)し、その文字で絵を形成する「象形詩文書」などに取り組む書家小林勇輝さん(40)=佐賀市出身=のオンライン展覧会が開かれている。実際にギャラリーに展示された形の50点を、誰もいない空間でゆったりと鑑賞できる。

 小林さんは6歳で書道を始め、墨で書いた詩が、翼のような形に見えたことをきっかけに、現在にもつながる創作活動を続けている。毎日書道展の入賞・入選歴もある。

 昨夏、米ニューヨークのギャラリーが開いたオンライン展覧会に参加。ロックダウンした国を中心に世界中から毎日数千のアクセスがあった。「生の作品を見てもらいたい気持ちはずっと変わらないが、コロナ禍では、安全にメッセージを発信できる手段だと思った」と小林さん。今年は、知人のキュレーターから声を掛けられ、オンライン展覧会を開いた。

 クジラになり、世界を泳ぐイメージを膨らませた「くじらじかん」(2016年)は、自作の詩をクジラの形に仕立てた。何百回も書き直し、想像を具現化している。

 これまで飾られることが無かった“失敗作”を再利用し、作品に仕立てた「天荒ヲ破る」シリーズ。上空から観察した阿蘇のカルデラに見立てる、木造のキューブを張り鏡を中央に置いてクリスタルにも見える輝きを演出するなど、見え方を意識した。ハイハイする前の息子を左腕に抱え、動くタイミングに筆を合わせた「ikiiki」など、実験的な作品もある。

 「完成をイメージしながらも、偶然の産物ができる。書の枠にとらわれたくなかった。多くの人に見てもらいたい」と語った。(福本真理)

 ▼8月31日まで。「ニューヨークアートウェーブプロジェクト」で検索し、ホームページ内のヴァーチャル個展から見ることができる。

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