準決勝・唐津商―東明館=佐賀市のさがみどりの森球場

 「試合では何が起こるか分からない」。1―1で迎えた二回、大黒柱がバットで流れを引き寄せた。東明館は加藤晴空主将の2点適時打などで序盤にリードを奪い初の決勝進出。「甲子園」に王手を掛けた。

 2死一、三塁。加藤は直球を強く叩いたが、打球は伸びずに右翼方向に弧を描いた。「打ち上げたな」。右飛の可能性が一瞬よぎったものの、すぐに頭を切り換えて全力疾走で次の塁を狙った。

 打球は東から吹く風にあおられ、深めに守備位置を取っていた右翼手の前方に落下。加藤は勢いそのままに二塁を蹴り、50メートル走6秒20の俊足を生かして三塁まで駆け抜けた。その間に三走と一走が生還し、2点を勝ち越した。

 加藤は「きれいな当たりではなかったが、チームに貢献できてめちゃくちゃうれしかった」と晴れやかな笑顔。豊福弘太監督は「全力疾走を怠らない。それを加藤だけでなく、塁に出た全員が実践できたのは日々の積み重ねが大きかった」とうなずいた。

 続く久保諒太の適時打で加藤も返り、この回で3点を先行。守っては主戦今村珀孔が再三走者を背負いながらも、直球を主体に追加点を許さず、三回には中堅手・成澤空舞がフェンス際の打球を好捕するなど、堅実な守備でリードを守り切った。

 加藤主将は「甲子園で一つ勝つということを目標に掲げてきた。支えてくれた人への感謝の気持ちを忘れず、(決勝は)絶対勝ちたい」。夢舞台への思いを運命の一戦に全力でぶつける。(草野杏実)

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