フレスポ鳥栖の東側、本鳥栖南交差点そばにある千人塚=鳥栖市本鳥栖町

 JR鳥栖駅の西側には、広大な敷地にさまざまな店舗が入る商業施設フレスポ鳥栖があり、多くの買い物客でにぎわっています。施設のすぐそばには静寂に包まれた千人塚が残ります。

 もともとこの場所は1914(大正3)年に片倉組鳥栖製糸所が建設された場所で、大規模な工場には270余りの釜があり、300人ほどが従事して生糸を生産していました。

 千人塚はその製糸所建設に際して、敷地内にあった戦国時代の戦没者とも伝えられる無縁仏や墓地を整備してまつったものです。

 鳥栖製糸所はその後、1949(昭和24)年に日本専売公社が取得し、鳥栖工場として「のぞみ」や「ゴールデンバット」などのたばこの生産を行うようになりました。

 しかし、生産を開始して間もない昭和25年ごろ、工場の予備課で業務災害が続いたため、あらためて千人塚の供養を行ったところ、頻発していた業務災害がたちまちに激減したといい、霊験あらたかな塚として大切にされてきました。

 やがて、1985(昭和60)年に日本専売公社が日本たばこ産業株式会社(JT)となり、翌86年2月に鳥栖工場は閉鎖されますが、その広大な跡地は商業施設などとして活用されてきました。鳥栖駅周辺は目まぐるしく変化・発展してきましたが、木立の中に残された千人塚が歴史の一端を今に伝えてくれています。(地域リポーター・田中健一=鳥栖市儀徳町)

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