鹿島で1時間の遅れが生じたため、嬉野に向かうバスの中で予定を立て直す。するとうまくいけば、次に向かう伊万里までの途中、有田駅で当初の予定に追いつけそうだった。気が楽になり嬉野市嬉野町の「体育館前」で下車し、近くにあるマンホール2カ所の撮影を順調に終えた。

 昼食の時間は無かったが、ファンの間で「聖地」として有名な「cafe moka」へ。店主の妻・井上礼子さんは、ファンが作り持ち寄ったものだという作品のイラストをあしらった写真立てやアクリルスタンドをすぐに持って来てくれた。作品の人気ぶりを改めて実感できた。

 嬉野からJR九州バスで武雄温泉駅南口へ。佐世保線特急みどり11号で有田へ向かい、午後2時3分発の松浦鉄道に乗り換える。無事遅れを取り戻して伊万里駅に到着。マンホールは道向かいのJR伊万里駅側にあった。

 次の目的地「ドライブイン鳥 伊万里本店」の手前には「十三塚」というバス停があるものの、この時間帯は便がない。計算では、歩いて45分前後で着くはずだ。

 ところが実際、店に到着したのは約1時間後の3時40分ごろ。乗る予定だった57分発のバスを諦めて入店し、「一番定食」(税込み1078円)を注文した。素朴な味わいの鳥めしにうま味たっぷりの鳥スープ、箸でほぐれるほどやわらかい若どりの焼き肉を堪能。悲鳴を上げる脚の疲労回復を図った。

 昭和バスで唐津・大手口に到着したのは午後6時10分ごろ。歩いてすぐの大名小路で13カ所目を撮り、唐津バスセンターから「妙見神社下」を通る1台に乗った。

 同43分、「妙見神社下」で下車する。ゴールはもちろん、作中「フランシュシュ」メンバーの住まいとして描かれている県重文「旧三菱合資会社唐津支店本館」(唐津市歴史民俗資料館)。どのように建っているのか想像できないまま歩いていると、家と家の間から突如、あの洋館が顔を出した。

 午後6時59分、全14カ所のマンホールを撮り終えた。達成感に浸りつつ改めて館を撮影していると、館の前に停まった乗用車から降りてきた男性に声を掛けられた。すると館の隣の民家からも初老の女性が出てきて、顔見知りなのか、男性と話し始めた。二人の話を意図せず聞いていたが、驚きのあまり思わず声が出た。いま館内でついている照明が夜、全館で点灯するのは2003年の休館以来、18年ぶりだというのだ。

写真を拡大 マンホール巡りの当日、約18年ぶりに照明を夜に全てつけたという唐津市歴史民俗資料館。2階の窓にはここでを住まいとする「フランシュシュ」メンバーの姿が見える=唐津市海岸通

 女性は館の管理を請け負う西元一重さん(70)。「リベンジ」最終回に合わせて点灯を市に提案したという。翌26、27日を本番として、この日は試験的に点灯させたところだった。約2時間遅れでゴールした旅は、全ての苦労も忘れるような幸運な出会いと共に幕を下ろしたのだった。=おわり(志垣直哉)

ゾンビランドサガ マンホール巡りに佐賀新聞の記者が挑戦! 公共交通機関だけで佐賀県内14カ所を1日で回れるのか!?(2021年6月25日)
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